大沼ねこひ日記

三月の羊の製造以外(企画、営業、広報、売り子 +マイフィールドの喫茶、絵本、gallery)を担当。高崎→東京→大沼へ

夏の名残り2

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残暑お見舞い申し上げます。すっかり涼しくなってしまう前に、夏に撮った写真を。
子どもたちと散歩した大沼公園の夕暮れです。コウホネ(上の写真)は面白いシルエットで、水面に映る姿とあいまって何とも朗らかな光景を生み出しています。

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それから、これまたアップしそびれていたのですが、毎年まっちゃんが届けてくれるジュンサイ沼のジュンサイ。夏の風物詩です。

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茹でてキュッと氷水で締め、出し醤油でいただくのがシンプルにおいしい。
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独特のえぐみが苦手という方もいるかもしれませんが、ジュンサイがとれるほど豊かな水質の沼があるすばらしさを感じながら、毎年ありがたくいただいています(大沼は大沼・小沼・ジュンサイ沼から成り立っています)。見かけたらぜひ一度味わってみてください。

 

のままで

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書きたいような恥ずかしいようなでずっと控えていたけど、「日曜日の初耳学」で初めてCreepy Nutsが「今幅広い層に人気の」って紹介されてたのが嬉しくてつい。

1年のにわかファンながら、これまでずっと「今若者に人気の」って冠になんかごめんなさいとむずむず。ふたりが更にそこからこれ程売れたことも、初めて納得のいく紹介のされ方したのではと思う良い番組だったことも嬉しかった。松永さんがオリンピック閉会式にまで登場して「一流」と言われるようになった時の波と林先生の力も手伝って。

昨年大阪放送局の音楽番組や「霜降りミキXIT」で見かけて気になってたところに、息子2が私から奪ったiPodで「どっち」をひろって、大爆笑しながら聴いてて。あ、あのふたりだ!と私もすぐにヘビロテ。

当時悩んでいたことにすごくぴったり寄り添ってくれる歌詞で、Rさんの日本語の響きの美しさと松永さんのクールでちょっとへんてこな音楽に打たれて以後クリーピー漬け。

2016年の「悩む相談室」からさかのぼり、1年で5年分の歴史を毎日のように味わい、どちらかが出てるからと普段見ないバラエティも相当見た^^松永さんが大食いに出た時は、「なんでまつながこれに出てるの?」と息子2まで言い出すくらい子供たちも身近に。

音楽はもちろん、深夜のラジオに救われることしきり。体が思うように動かず、受け入れられず寝付けないような日々、ふたりのラジオを聞いてるとばからしくてほっとして、すーっと寝てしまうことが度々あった(誉め言葉)。翌日ラジコで再聴。

いつも、誰か私を笑わせてよ、びっくりさせてよって(面白いことないかな、新しい概念見たいなと)思ってるんだけど、お笑いは好きでも作りこまれたネタは笑えず、このふたりのとぼけたあきれるくらい素の部分の面白さに何度爆笑させてもらったことか。

大人なのにこんな全力でばからしい(しかもわざとらしくない)こと延々と話せる人いるんだーっていう嬉しさと、どこか自分と一緒だ♡とほっとするようなところがあって、ラジオやみつきになってしまった。ラジオの距離感ってすごい。

くだらないこと大好きって気持ちを、日常生活ではあんまり共有できないからかしら。大人になるにつれ、教養とかいい話好む人が周りに増えてくもんね。

くだらないけど、きっとふたりもそれに救われてきたから、今度はする側に回ってるんだろうなと思う。高校途中でやめてDJの道を歩んでから音楽で食べられるようになるまでの10年近い日々に、どれだけの孤独と修練があったか私にわかるはずもないけど、これほどの癒しが生まれるのはきっとそのせいなのではないかなって。

だから年末のCDTVで年越しカウント取ってた姿も、お正月にさんまさんの番組呼ばれたのも、何だかとっても感慨深くて、いちいち心打たれてしまう。声かけられたらやってみよう、どんな自分でも受け入れようっていうスタンスが愛しくて、私みたいなはみ出し者でも社会にいてだいじょぶかもって思わせてくれる。

ので、「若者に人気」って気持ちはすごいよくわかる。あんなに売れてても毎度どこか所在なさげにいる大人ってなかなかいないもの。私もオーバー40でも所在ないからシンクロするんだろうか。世代の差をほとんど感じないのは彼らの包容力と努力のたまものだろうけど。

こんなに正直でいいの?って思うくらいそのままの自分をさらけ出しているふたりが活躍してる日本にほっとする。これからはきっと、それでいいってことだよね。日本てなんかいろいろ大変だけど、自分のままでいよう。

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↑ 松永さんのパフォーマンスを真似る息子1
↓「この髪型まつながっぽくない?」と心配そうに聞いてきた息子2 

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ちなみに長岡出身のDJ松永さんの師匠はDJ CO-MAさんと聞いて爆笑(息子2の名前)

 

 

夏の名残り

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数日暑さが戻ってきたけど、気配はもう秋。載せそびれた夏の夕暮れの写真

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散歩ルートにいたミシシッピアカミミガメ。前にも道路に唐突にカメがいたので驚いた。近くで見ると大きく、『モモ』のカシオペイアみたい。目を凝らしても甲羅に文字は出てこない。100歳を超えてるかもと聞いて驚く。

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外来種なので然るべきところに捕獲してもらった方がいいらしく、居合わせたお兄さんが連絡してくれていて、しばらく見張っていたんだけど、ほんの一瞬目を離した隙にいなくなってしまった。手分けして探しても跡形もない。意外と足が速いのだって。

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釣り大好きな息子2は大沼でルアーの練習。ポイントに向かって、思う場所へ投げるのが難しいらしい。大沼にはアメマス・コイ・フナなどが生息していて、ヘラブナとワカサギは漁協が管理している。

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ベーブレードが最近増えなくなったと思ったら、代わりにルアーがどんどん増えてる。

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「これ初めて作った仕掛けだよ。これは●●用で、こっちは×××」とずーっと何語かわからない解説が続いてゆく。家にあった釣り雑誌や「釣りキチ三平」まで掘り出して読んでいる。夫は仲間ができて嬉しそう。

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湯の川の海で釣って来てくれたサバ




 

ひつじ20年のあゆみ

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おかげさまで、今年三月の羊は20周年を迎えます。感謝の気持ちを込めて、ささやかですが店内にて「ひつじのあゆみ展」を展示しています。2001年田園調布で夫が開いたパティスリー「三月の羊」が、2004年に西荻へ移り、私も入ってリニューアルオープン、2010年には大沼へ移住、2012年母屋の完成、2019年現在の新店舗完成と駒を進めてゆく様子が端的にわかるよう、写真を添えました。

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西荻窪時代の掲載紙や、当時請け負っていたウノアエレ・ジャパン(ジュエリーメーカー)様のイベント菓子案をまとめたファイル、移住へのイメージファイルなど、ここでしか見られない資料を揃えてみました。大声で「来てください」とは言えない状況なので、また25周年か30周年の時に企画しますから、みなさんのんびりやりましょう♪ということで。

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大沼への移住を決めた2007年秋の旅の写真

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2011年11月11日満月の日、母屋の棟上げをした記念すべき写真たち

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西荻窪を発つ時、Bowshaverさんたちが贈ってくださったオリジナル本『羊のいたまち』も見られます。西荻の風景や間もなくなくなる店舗内をしみじみと名残惜しんでくださいました。(豆本作家九十九耕一さん・粘土作家コヤナギアイコさん・羊毛作家新井ひでさんの合作)

とてもゆっくりでマイペースな私たちですが、たくさんの方のお力添えを得てここまで歩んでこられたことに、心から感謝いたします。ずっとやっていきますので、この夏北海道に行きたかったなーと思っていらっしゃる方も、いつかきっとお会いしましょう!これからも、よろしくお願いします。展示は8月いっぱいです。

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★8月5日発売「dancyu 2021年9月号」(プレジデント社)平松洋子さんのエッセイの差込み写真でひつじパンDXとひつじのケーキをご紹介いただきました。

広島・平和

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8月6日はなるべく子どもを誘って、朝8時にテレビの前へ。北海道の子供たちにとっては広島は遠いから、意識していないと無関係になってしまうと思って習慣になるよう。

(場所柄なのか時代なのか、中学生になる息子が学校で一度も広島の原爆について聞いたことがないというのがけっこう衝撃でした)

同じ時間に、多くの人が思いを重ね、御霊鎮目が主であるその後に、気持ちは現在と未来へも向く。ここから私たちはどうしていくか。何をしていけるか。

どんなに考えても実現に答えが出そうにない世界平和ではあるけれど、お金が儲かることや立場の利が戦争や核兵器がなくならない理由ならば、そういう人たちが心から満たされることを、心から祈りたい。

ほんとうにささやかなものが心を救ってくれる。

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大沼で暮らすようになってから、ナンシー・ウッドさんの『今日という日は贈り物』(講談社)で引っかかっていた言葉が、しばしば浮かぶ。

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六月
ー 耳を澄ませて聞く、
 沈黙を聞くこと

(中略)

そして宇宙の意味とは
   葉に置く露
   水の上の光のダンス
   二匹の犬の会話
   ハチドリの飛ぶさま
   それ以上のことではない。

***************

東京で何かの手がかりを掴むため、夢中で書き留めておいた言葉が、今生活の中にある。あぁ、こういうことか、と感じられる瞬間が。

とても静かに、にぎやかに、さわがしく、健やかに、命が犇めいている。
その美しさに見とれたことが、あなたはある?

 

 

 

 

 

蒸し暑い日・朝の虫かご(苦手な人は無視してね^^)

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今日は大沼も蒸し暑い日になりました。が、16時頃になるとすーっと気温が下がり、最近は夕もやに包まれて朝晩しっかり気温が下がります。一番暑い時間帯でも28℃でしたから、本州や道内の暑い地域に比べると、森に囲まれた大沼は穏やかな暑さでしょう。

今年はオニヤンマを多く見かけます。上の写真は足を怪我して不時着していた奴。メガネがとんでもなくマジカルな美しさ。

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こちらはハンノアオカミキリ。虹色に光ってこちらも見惚れる美しさ。

 

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オオゾウムシかな。まだらの模様が美しいですね。

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横から見るとタイムボカンみたい。象のような鼻だからゾウムシ。そう思うとこの造形がたまらなく可愛く思えませんか?

↓今朝の虫かご

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日々部活の兄に置いていかれて、毎日「ヒマ~。何すればいいの?」「だから夏休みって嫌いだよー」「早く学校始まらないかなー」を連発している息子2。今日は兄の友達Sくんが一緒に虫取りしに来てくれました(息子1は部活で不在)。

ふたりで出かけると、あっという間に虫かごはいっぱいに。相手をしてもらって満足そうな息子2。いいお兄ちゃんができて良かった^^

雑草と同じく、昆虫もその年の天候で少しずつ生態系が変わるので、これまで見なかったものを見るとなんだかラッキーと思ってしまいます。全然虫に詳しくなかった私ですが、昭和の小学生のような息子2が捕まえたそばから色々見せに来て図鑑で教えてくれるので、少しは馴染んできました。

気が付くとテーブルにクワガタの羽が「集めて」あってギョッとしたり、思いがけないところにスズメバチの死体が「保管」されていて思わず後ずさったりしながらも、このすばらしい環境に感謝し、もう少しの間はバーチャル少なめで、地球が生んだすばらしい自然の造形をたくさん眼や体で吸い込んでほしいな、とこっそり思います。

 

高濱浩子作品展「まなざし」明日まで!

f:id:nekohi3:20210724213437j:plain(「旅する切手」2005年西荻の三月の羊にて)
2002年、図書館勤務の傍ら通っていたセツ(長沢摂先生が始めた美術学校)に置いてあった「装苑」で、私は高濱さんの切手を使ったポストカード形式の作品と出会った。手紙も切手も好きだったので、外国の珍しい切手と美しい線と色との響きあい(サイズも含め)に、大変心をときめかせた。

2004年10月西荻窪のお店をスタートさせた当初、修業を経て自営業も経営してきた芹沢と違い、私は準公務員上がりの、せいぜい家政婦のアルバイトをしたことがあるだけの、ただの喫茶好き女子だったので、西荻のように舌の肥えたお客様がいっぱいいる場所で皆さんの審美眼に叶うようなスキルはひとつも持ってなかったと思う。

あまりにいっぱいいっぱいで、断片的なところどころの記憶を除くと最初の3年のことはほとんど覚えていないのだけど、高濱さんとの出会いは覚えている。鉄瓶に入れた高千穂というお茶を頼んでくださった高濱さんが、ゆっくりお茶の時間を楽しんだ後、自分はこういうのをやっています、と(たぶん青山ブックセンターあたりで始まる)展示のチラシを見せてくれた。

私はすぐに「あ!あの装苑で見たポストカードの作家さんだ!」と気づき、すぐさま「ファンです。今度お店で展示をしていただけませんか」と頼んでいた。高濱さんは「相方に相談してみますね」と持ち帰り、翌年2005年4月に店内でゼンマイカムパニーの展示をしていただけることになった。

f:id:nekohi3:20210724213441j:plain(Gallery第1回目)

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とってもすてきな展示をしてくださり、プロのアーティストとはこういうものかと心の底からワクワクしたことを覚えている。

この後何十かの展示を色々な方にしてもらうのだけど、ゼンマイさんが第1回だったことを、私は次回の展示準備のため過去のファイルを開く今日まで忘れていた。たぶん頭の片隅にいずれ展示をしたいという思いの種はあったと思うが、つまりお願いした時点では設備も前例もなかったのね。でも、おふたりとも快く引き受けてくださり、ただの喫茶店を見事に生かしたすてきな展示に仕上げてくださった。

セツでの勉強や学生時代学芸員の資格を取った下地はあったものの、やっぱりほぼ素人なので、ゼンマイさんに展示していただいた空間のピリッとした空気感を何度も思い出しながら、その後の店内を整えていったことは記憶にきちんと残っている。いつも、あんな風にぴしっと仕上げたいものだと思っていた。

たぶん、「三月の羊」とか「芹沢」とか彼の側が持ち込んだ自分のものではない名前になじむため、何か好きなフィールドを広げないと壊れてしまうと思っていた頃だった。展示に関わっている時は本当に幸せな、呼吸が楽になる時だったように思う。

あの時高濱さんと会話ができた奇跡と、いつもはぼんやりしているのにすぐさまパッと対応できた自分に感謝。記憶力というより、何か嗅覚に近いところで無意識に行動したのだろう。西荻・大沼と、高濱さんに通算5回、最多で展示していただいたことになる。

明日は「まなざし」展最終日。改めて感慨ひとしお。ぜひ空間を含め作品を味わっていただきたい。私に始まりのきっかけをくれた高濱さんの作品は、今もやっぱりすごいエネルギーを持って作用する。絵は「美しい」とか「おしゃれ」とかだけではなく、ものすごい力を持っている。それは一緒に過ごしてみるとよくわかる。

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絵の前に立つとき、自分に何が起こるか。ぽかーんと心と頭と体(自分)を開け放って起こる作用に身を任せるスリルを一度知ると、冒険を知ると、きっとやみつきになるだろう。

マヤ歴では1年と1年の継ぎ目にあたる「時間を外した日」。何かが終わり、何かがまた始まろうとしている。大きく変化するこの世界を、楽しみ慈しみ、乗りこなしてゆきましょう!みんな健康で。