大沼ねこひ日記

三月の羊の製造以外(企画、営業、広報、売り子 +マイフィールドの喫茶、絵本、gallery)を担当。高崎→東京→大沼へ

コーヒー ~少し長いストーリー

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6月の夕方の森は耳がとろけそうなほど鳥の声がきれい。
高校生の時母に連れて行ってもらった画廊で美味しいコーヒーをいただいて以来、コーヒーが好きです。長男妊娠前後マクロビ方面へ行き、飲まない時期もありましたが、コーヒーという存在そのものと香りが好きで戻ってきました。手放せるものと手放せないもの、はっきりすればより鮮明に自分にとって大切なものがわかります。

今回お届けするマヤビニックコーヒーは、コーヒーが農作物であることを実感させてくれるメキシコの豆です。マヤの先住民の知恵を生かし、現地の人たちが化学肥料に頼らず育てた豆をフェアトレードによって日本へいただき、日本で焙煎しています。

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2003年か4年あたり、西荻店オープン前で私は気になるコーヒーをひたすら飲み歩いていました。ある時、慶應大学へ転入した友達の学園祭に招かれて行った藤沢キャンパスで「マヤビニックコーヒー」をいただいたのです。美味しかった。好きな味でした。でも、もらって帰ったパンフレットには入手方法はなく、ネットで調べてもどういうものなのかよくわからないままでした。

西荻店では使うことなく長い年月が経ちましたが、心の中に「マヤビニックコーヒー」という言葉が呪文のように残っていました。今回新店舗を立ちあげるにあたり、幾つかここでお出しするのにぴったりくる豆を検討していましたが、そういえばマヤビニックコーヒー…ずっと気になっていた呪文を久しぶりに検索すると、今度はヒット!

株式会社豆乃木さんという会社が取り扱っているようです。早速何度か取り寄せ、飲んでみました。あの時のものと同じかどうかはわからないけど、感じのいい豆でした。厚真の地震や店の繁忙期に入り、すぐには気づかなかったのですが、暮れに同封されていたパンフレットをようやく熟読する時間ができて目を通すと、そこに会社の代表者杉山さんの経歴が。

青年海外協力隊と民間企業勤務を経て慶応大藤沢キャンパスに入学、在学中に山本研究室にて「2003年より」マヤビニック生産者協同組合に支援を行い、卒業後同社を設立、とあるのです!つまり杉山さんのいた山本研究室の研究発表として出されたものが、私があの時藤沢キャンパスで飲んだコーヒーだったのでした。

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 マヤビニックコーヒーには、まだ多少品質の揺らぎがあります。でもそんな農産物らしさや、現地の人々を感じられる部分も含めて、この豆とお付き合いしてみたいと思いました。何しろ15年経っても気になる何かがあった豆なのですから。

フェアトレードのオーガニックコーヒーなので、安価なものではありません。けれどもメキシコの大地を感じながら、現地の方へ適正な金額を払うことを意識しながら、美味しいコーヒーを一緒にいかがですか。こちらも店内だけでなく、100g単位でお持ち帰りや通販でもお届けできるようにしたいと思います。

『一本の鉛筆の向こうに』という谷川俊太郎さんの絵本がありましたが、一杯のコーヒーの向こうに広がる世界を味わえたら、私たちの生活もまた豊かなものになるのではないでしょうか。