大沼ねこひ日記

三月の羊の製造以外(企画、営業、広報、売り子 +マイフィールドの喫茶、絵本、gallery)を担当。高崎→東京→大沼へ

ビートオリゴ ~北海道の大地が生んだ宝物

毎日書ききれないほどの感謝と感動があるのですが、4日のオープンを控え、時間も体力もギリギリに。

始まる前に1つだけ。ビートオリゴのお話を。

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日本の砂糖というときび砂糖が有名ですが、実は国産の砂糖の7割は北海道産甜菜糖なのだそうです。日本甜菜製糖株式会社(以下日甜)の「とかち野酵母」を使っているご縁で、1月に同社の「ビートオリゴ」というシロップをいただいたのですが、これがとてもやさしい味で使いやすく、すっかり気に入ってしまいました。


今回喫茶でどんな砂糖を置くか考えていて、まずブラウンシュガーを念頭に置いていたのですが、精製度の低いものはシュガーポットに入れておくと固まりやすいし、常にフレッシュさを保つことが難しく、かと言って固形のブラウンシュガーは比較的高い印象でした。それに使わない人にもお出しすると砂糖が無駄になります。(先に聞かれるのは、私は苦手です。コーヒーの味によっては入れたくなるから)

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それでふと、このビートオリゴシロップはどうだろう、と思い日甜さんに相談してみたのです。たまたま出張でこちらに寄って下さり、甜菜糖についてより深い知識を得て、思っていた以上にすばらしく、ぜひ皆さんと分かち合いたく思いました。上手く伝えられるかわからないのですが。

三月の羊では、色々な砂糖を試した末、大沼に来た時は全ての商品に甜菜糖を使っていました。理由は北海道産であることと、根からできる甜菜糖は、植物の上部を使うきび砂糖などに対し、体を冷やさないと言われていること、また味わいがまろやかで美味しいことでした。

ただ、お菓子に使うにはその時入手可能な甜菜糖は粒子が大きく、解け残りやすく、羊ショートブレッドがまだらになることがありました。そこで今はパンにはそのまま甜菜糖、お菓子は三温糖、羊のケーキはブレンド、と使い分けています。

私は家庭では甜菜糖三温糖を使っていましたが、長らく使ってみて、味は圧倒的に甜菜糖が好きだなぁと思いました。後味がとても良いのです。砂糖によっては、食べた後にべたーっと舌に残るような甘さがあり、それが苦手ですが、甜菜糖の甘味は爽やかです。ハチミツ以上に自家製メープルシロップが好きなのもその為です。

「ビートオリゴ」の味は自家製メープルシロップに似てとてもさらっとしています。コーヒーの味を邪魔することがなく、ほんのりした甘味を加えてくれます。ホットだけでなく、アイスコーヒーにも使えるところがまたいい。

更に、日甜の方にお聞きしたところによると、甜菜糖を製造しているのはドイツ・中国・日本くらいで、その中でも寒冷地である北海道で甜菜から砂糖にする過程でだけ、良いことがあるというのです。北海道で収穫された甜菜は、幌を掛けて野外に貯蔵されます。そこで雪の中低温による凍結から自らの細胞を守る為に蓄えるのが、ラフィノースと呼ばれる「天然の」オリゴ糖なのだそうです。

オリゴ糖シロップを調べていた時、「イソマルトオリゴ糖」と「ビートオリゴ糖」の値段が随分違うなぁと不思議に思っていたのですが、それでわかりました。イソマルトオリゴ糖ブドウ糖を添加して人工的に作られたもの。ビートオリゴ糖は、甜菜糖が北海道の寒さで自ら生み出した天然のオリゴ糖だったのです。

つまり、他の地域で作られている甜菜糖ではこの恩恵が受け取れない。北海道ならではのすばらしい賜物だったのですね!また、鳥取や青森では戦後てんさい糖栽培が試みられたことがあったけれど条件が揃わずうまくいかなかったそうです。北海道の広大な大地と、雪のおかげでこの美味しいものが味わえるなんて、すてきなことではありませんか。

私は断然このビートオリゴを応援したくなりました。喫茶ねこひにとっても願ったりのスタイルです。使いたい方だけが手に取れるよう、中央のテーブルに置いてありますので、飲み物に甘味が必要な時には少量使ってみてください。(あまり入れると飲み物の味をそこないますし、お腹がゆるくなることがあるのでお気をつけください)

店舗でも販売予定ですので、気にいった方はぜひご自宅やギフトにどうぞ。甜菜糖の存在は、道内ではまだまだ認知度が低いとのこと。これほどの逸材が広く知れ渡らないのは残念なことです。

北海道にはまだまだたくさんのすばらしい力があります。お店を新しく作るということは、たくさんごみを出したり、無駄なこともしてしまいます。けれどやるのだったら、少しは世の中が明るくなるような、北海道のお手伝いになるようなことをしたいなと思います。


さて、理想ばかり書き連ねてしまいましたが、実際には私は体力がなく、できることは少しです。喫茶に関してはセルフの部分をかなり設けていますので、山小屋のようなつもりでお越しいただけると幸いです。

喫茶ご利用の際は、お席を取ってからレジでご注文いただき、必要なものは中央テーブルに置いてありますのでご自由にお使い下さい(お水やシロップ・ミルク・ケチャップなど)。また、時により下膳台も設置しますのでよろしくお願いいたします^^

静かな大沼の自然を一緒に味わっていただけたら、これほど嬉しいことはありません。
それでは、お店でお待ちしてますね!