開店する頃横殴りの冷たい雨が降っていて、辺りはひっそりしてたので、今日は読書日和かな、と昨日沖縄から到着した本を開く。市場の古本屋「ウララ」から届いた2冊。ほっとする静けさと涼しさ。読書にぴったり。
友達の宇田智子さんがジュンク堂書店員から古本屋店主になったのは2011年。私たちが大沼で母屋を建てていた頃だった。もともとの賢さとユニークさに「沖縄で沖縄の本を売る」という明白なテーマが加わり、にわかにスポットライトを浴びる。あちこちの雑誌で見かけるようになり、次々と本を出してゆく。
私が図書館員を辞めて西荻で「三月の羊」に加わった時智子さんが言ってくれた「隣のお姉さんがアイドルになっちゃった感じ」をそのまま返す。何だか遠くに行ってしまったみたいなまぶしくて少し淋しいような誇らしいような気分になった。新聞やラジオでも見かけた。
でも、お店をやっていくということは決して華々しいことではない。続けるのは本当に地道な、自主トレみたいなものの積み重ね。有名な公設市場が老朽化で建て直しが決まり、公設市場の真ん前に、市場の一部みたいな雰囲気の中にあったウララから見える景色も、ずいぶん変わっただろう。
雨が降りしきる初秋の森。すばらしい環境で幾つかの記事を読んだ頃、読書日和は喫茶日和でもあったらしく、お客さんが続く。気温が下がったので、コーヒーを注ぐときの香りがぐっと強く感じられ、とても美味しそうに入った。
古本だけでなく沖縄発の新刊も取り扱うウララは、夏休みを終えて今日からシャッターを開けているはずだ。数年前に訪れた那覇のむっとした熱気を思い出した。
*通販サイトはないけれど、ウララのブログに載っている本はメールで注文すれば購入することができます。川口美保さん編集の「CONTE MAGAZINE」創刊号、おすすめ☆
◎市場の古本屋ウララのブログ→https://urarabooks.ti-da.net/
◎ウララを訪ねた時の2015年夏のねこひ日記 → https://nekohi3.hatenablog.com/entry/20150803/p1