大沼ねこひ日記

三月の羊の製造以外(企画、営業、広報、売り子 +マイフィールドの喫茶、絵本、gallery)を担当。高崎→東京→大沼へ

太古のアリューシャンからniziUまで

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朝もやの中、先月植えたヤマモミジが紅葉してキラキラ

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落ち着いた紅が、ここ数日でみるみる鮮やかになりました。

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どの木もまだ小さいですが、しっかり根を伸ばして少しずつ大きくなりますように☆

高濱さんの展示の頃、3回目になる「アリューシャン黙示録3部作」(スー・ハリスン、晶文社)を読み返していました。文化人類学に長けた作者によってかかれたベストセラーなのですが、舞台は紀元前7000年のアリューシャン列島。その生活の様子はリアルで、すごく面白いんです。

第一部『母なる大地 父なる空』は、13歳の少女が厳しい現実をたくましく生き抜く物語。第二部『姉なる月』はその息子たちの嫁になる少女が、家族からの虐待を受ける厳しい環境に耐えながら機転を利かせ強く成長してゆく物語、今は第三部の『兄なる風』を読んでいます。

それぞれ上下巻があるので読み応えがありますが、漁をし、生活に必要なものを紡ぎだし祈りながら生きる様子は大沼での暮らしととても近い部分があります。最初にこの本と出会ったのは10年以上前。原点に近い生き方に憧れながら「アザラシの油のランプ」とか「アノラックに油を塗っておく」というような記述にトキメキいたものでした。

次は息子1出産後。赤ん坊と向き合うため、本を読むことをしばらくやめてみよう、と本断ちをしてみたのですが、数か月経ったころ無性に読みたくなったのがこの作品でした。断食の後初めて食べる食事のように、産後という過酷な状況を生きながら物語を吸収しました。

三度この本を開いて本の影響力に驚きました。生きる上での「祈り」の取入れ方はこの本から吸い込んで身に着けたのかも。もっとも先住民族の死生観や祈りのスタイルは各地で似たものがあるので、興味を持ってきたアイヌ文化やネイティブ・アメリカンからの影響など色々が混ざりあっているとは思うのですが。

心の中で自分の考えを反芻する癖も、第一部の主人公黒曜石から学びました。自分が何かをしようとするとき、思いがけないことが起こったときなどに黒曜石のように「これは私がやってもいいことかしら」「悪いことが起こるようなことを自分が何かしたかしら」と考えます。

古代の人たちはこのように精霊と話しながら自分の行動を確信していったと考えられていますが、スピリチュアルを信じるかどうかはさておき、一歩立ち止まったり、全てが自分の決断の結果と思わずある程度自然にゆだねる概念は、今を生きる役に立っているように思います。

都会にいた時に比べて生命の死が近い今の生活で、しばしば安穏としたドラマには入り込めない時があります。少しシビアな場面もあるのですが、この三部作には時代と場所を超えて共感できる本質的なものがあり、とてもしっくりきました。

考古学、民俗学的要素も興味深く、かつては北海道からアラスカへ向かって一続きだったかもしれない文化をこの場所で味わえる喜びに浸っています。フィクションではありますが、完成時に送った出版社から学術書の出版社へ送りなおすよう勧められたほど詳細な生活の様子が魅力的です。

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カナヨさんの展示準備が始まる頃には、nijiUのニジプロジェクトにはまりました。ご存知の方も多いでしょう、韓国人プロデューサーJ.Y.Parkさんによる日韓合同で行われたガールズグループ結成までのオーディションの模様。感動で涙しながら明るい気持ちをたくさんいただきました。

こちらも14-17歳くらいの少女たちの成長物語。1万人からniziUメンバー数名を選出するドキュメンタリーです。歌とダンスは好きなのに、日本でここしばらくはやり続けたアイドルグループにあまり共感できずにいた私ですが、夏に薬局で「Baby I’m a star」を見たときのniziUの衝撃的な可愛さは事件でした^^

日本のアイドルと何がこんなに違うんだろう?と印象に残っていたのですが、その後幾つかのテレビでJ.Y.Parkさんを見かけ、その信念や彼女たちへの言葉がけに見られる(日本のテレビに出てくる大人には見られないような)真摯な態度と率直さに心打たれたのがきっかけです。

少し不ぞろいで、自分を思う存分発揮してキラキラしている彼女たち。オーディションの全貌を見て、何が日本のアイドルと違うのかがはっきりわかったし、国籍は関係なく、10代の子たちにこれ程の誠意と情熱を持って嘘のない言葉を投げかけられるJ.Y.Parkさんを本当にすばらしいと思いました。

「そのままの○○さんでいてください」「今のでは○○さん自身がいないように感じました」こういうことをしっかり言ってくれる大人が、今の日本にどれだけいるでしょうか。歌は表現をするもの、自分を表すもの、というアートの観点も日本の学校ではあまり教えてもらえません。日本ではただ、うまくやること、上手なことが求められます。

日本では、私たちは育ってくるとき、むしろ全く逆のことを言われ続けてくるのです。中学入学早々、コワモテの学年主任が体育館で新入生に向かって「個性を出そうと思うな」と真顔で言っているのを見て、子供ながらに「だめだこりゃ」と思いましたよ。なんつーか、中学ってそう場所か…やり過ごすしかないなって思ってしまった。

いい子になる必要ないんだよ、素の自分でOK!自分を輝かせよう!そのメッセージを必要としている人間が日本にいっぱいいる限り、niziUはきっとたくさんの人に求められ、笑顔と感動を与えてゆくでしょう。もちろん世界へも。

来週火曜には「スッキリ!」に生出演するとのこと、楽しみです。