大沼ねこひ日記

三月の羊の製造以外(企画、営業、広報、売り子 +マイフィールドの喫茶、絵本、gallery)を担当。高崎→東京→大沼へ

小さな革命

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4月から中学生になった息子1。家のリズムが整ったのはようやく最近。朝は早いし帰りが18時半になり、家に帰ってくればクタクタで、土日も部活だったりするので、家事も仕事も手を借りていた私たちはだいぶ困った。でもやりたいこと見つけたなら応援しないとね。代わりに、できることが増えてきた息子2の存在が頼もしかったり。

材料を揃えるのに1か月かかり、ようやくGWに着手して座礁した「ポンポン汽船」がとうとう完成。息子にも私にもほんの少しできたゆとりの証。蒸気船がどうして動くのか、聞いてもいまいちよくわからなかったのが、『工作大図鑑』(かざまりんぺい著、主婦の友社、2017)を見て自分にも作れる蒸気船がある!と知って大興奮したのは私が先だったが、心にしまっておく。

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息子らも「面白そう!」と食いついたものの、直径4cmのアルミ缶のふたとか、40cmのアルミパイプとか、シンプルに見えた材料集めに意外と時間がかかり、ようやく揃って1日がかりでやってみよう!とやっと子どもと時間をとれたGW、「アルミパイプを単3電池にそわせてゆっくりコイル状に」が激ムズ。妙なひねりで折れる、つぶれる。

パイプを水が通り、蝋燭で熱される仕組みなので、一番肝心な部分。ホームセンターで買ってきてもらった1mのパイプがたちまち短くなっていく。ギリギリできたけど少し短い(これをAとする)。思い切ってネットで40cmのパイプを買ってみた。もっと加工しやすい丈夫なのがあるのではないかしら……開封。同じ素材(^_^;)

アルミパイプの曲げ方をネットで調べ、砂を入れて熱すると潰れずに曲がるとあったので、砂は用意できないから細い針金を入れてチャレンジしょう、と決める。そこからまた1か月。数日前、新生活に体も慣れ、中体連も中間テストも終えた息子1が「ポンポン汽船作る」と言い出したので、今しかない!とのっかる。

担当を手分けして、私は難関のアルミパイプ曲げ。コイル4巻作る。3巻目までわりとうまくいった……のに最後の最後でぽきっといってしまった。かろうじてつながっているけども。ショックに浸る間もなく、船体を担当していた息子1、千枚通しが指に刺さって負傷(^_^;)

どうしても完成させたいので、夕飯後、ひとまずやや寸足らずのAで仕上げてみる。上の写真がAを使った完成品。夜も遅いので、試運転は翌日に持ち越し。

翌日、押し気味の夕飯をもう少し後にずらし、蝋燭に火をともして息子2がそっと湯舟に置くと、意外と手に入りづらかった今時珍しい形のイワシ煮の缶詰がすーっと走り始めた。👏👏👏一斉に拍手がわいた。おぉ! ただ、やっぱり寸足らずなので勢いが少し弱く、パイプがきれいにまっすぐ浸水していないので旋回気味。

ひとまずちゃんと走ってくれたことに勇気をもらい、うまくいきそうだったBを修正してみることにした。はんだ付けをして穴をふさげば何とかいけるかな。が、甘かった。折れやすいパイプの角度を調整しながら、夫が数十年前に購入した通電の微妙な半田ごてでいじくりまわしているうちに、完全に折れた><

もう息子らはすっかり気持ちを離脱させて、どこへやら。私はこうなると何か心に火がともって、逆に絶対やってやるぞ、という気になる。もっと簡単に考えてみればいい。アルミテープではどうだろう、ぴたっとくっつくマステではやっぱり弱いかな…色々考えて、ストローで補強してマステで補強することにした。

ほんとは最後まで息子を励まして自分の力でやり遂げさせるのが「良いお母さん」の正解なのかもしれない。でも、もはや教育とかどうでもよくなって、淡々と仕上げる。もう19時近いので、風呂は飛ばして夕飯をささっと作り、食後3人が録画の大谷くんに夢中になってるのに背を向けて取り組む。早寝の夫が寝室へ向かう頃、Bが形になった。

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Aよりは着水部分を長くとれたし、まっすぐつけられたような。
やってみると、すーっと進んでくれたけど、りんぺい先生が示していたような蝋燭ではなくごく細い小さなものだったので、火力が弱いせいか思ったほどは勢いよく進まない。一応息子らは戻ってきて、一緒に風呂を覗き込んでいる。

やっぱりもう一本1mのアルミパイプをホームセンターで買おう、それから大きくて平らな蝋燭も、と内心闘志を燃やしている私とは反対に、子供たちは「実験成功だね」とさっさと行ってしまった。

どんどん複雑になって、自分では壊れても直せない物が増えてゆく昨今だからなのか、自分の手で仕組みを作ってそれが稼働する、電気なしの仕組みが愛しくてたまらない。

火と水ってすごい!蒸気の力を発見した人ってすごい!
世界史では素通りしていた「産業革命」という言葉がやっと現実味を帯びて、何十年か遅れておぉ!と思う。

牛乳パックと曲がるストローで作れるバージョンもネット上で見かけたので、息子2とはそちらを作ってみるのもいいかな。見た目はやっぱり缶の方が断然かっこいいけども。加工しやすいように、船体は冷凍グラタンのアルミ皿でもいいかもしれない。それなら広いから乗組員が乗ってたら楽しいな…道はどこまでもつづく。