大沼ねこひ日記

三月の羊の製造以外(企画、営業、広報、売り子 +マイフィールドの喫茶、絵本、gallery)を担当。高崎→東京→大沼へ

来年への贈り物 ~植田真さんの展示

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おかげさまで、店舗販売は無事終了しました。今年もありがとうございました。
お忙しい中わざわざ最後の土日を目指して来て下さる方も多く、心温まりました。
コロナ下に置かれてから、よりお客様のお気持ちを感じることの多い日々です。

私からのお礼のひとつは、お店ですばらしい展示をご紹介すること。
来年は、絵本作家のスギヤマカナヨさん、画家の工藤千紘さんに続き、イラストレーター・画家で絵本作家でもある植田真さんに展示をお願いできることになりました。
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雑誌「illustration」は1979年創刊のイラストレーション専門誌で、絵本やイラストの世界に憧れを持っていた20代前半頃によく手に取っていました。当誌が主催する「ザ・チョイス展」では名のあるイラストレーターによるコンペが行われ、植田真さんを知ったのは、その受賞作品を見た時でした。(右は2020年12月号のnakabanさんと植田さんの特集号。表紙絵はnakabanさんのもの)

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(右『りゅうの目のなみだ』浜田廣介/作、植田真絵、集英社
その後すぐにお仕事でご活躍されるようになり、図書館員時代には植田さんが挿絵を手掛けた作品を、同僚の女の子と一緒にわーきゃー見ていました。繊細な線と卓越した色彩センス、いつまでも見ていられる余白の多い絵。

『はじめて考えるときのように』(野矢茂樹/文、植田真/、PHP)は、10年以上かかってゆっくり読んでいるやさしい哲学書ですが、植田さんの絵が果たす役割は単なる挿絵以上だと感じます。

どの作品でも、深く文を理解し、十分すぎるほどの咀嚼を経て絵が出来上がっていることが伝わってきます。シンプルであることが凛として成り立つには、ブルーナしかり、その裏に見る人の想像を超えた量の下書き(頭の中の構想を含め)があるのではないでしょうか。

『チョコレートのおみやげ』(岡田淳/文、植田真/絵、BL出版)を読みながら、植田さんのいる神戸の街が浮かんできましたが、児童文学の世界で著名な岡田さんも神戸在住と初めて知りました。

ご自身の絵本について語る日はまた別に設けたいと思いますが、静かで美しく優しい世界観は、どこか大沼の景色と通じているような気がして、今回思い切って原画展をお願いしたところ、ご快諾いただきました。

20年来好きだった植田さんの絵の世界がねこひで展開されるなんて夢のようだな、と何度も噛みしめています♡来年がとってもとっても楽しみになりました。あはは、お礼と言っておきながら、一番楽しんでいるのは自分でした(^_^;)

私の仕事は種を蒔くこと。展示を楽しみにしてくださっている皆さんに背中を押していただいて、より良いものを、と踏み出すことができました。本当にありがとうございます。皆様のお力が形になる日を、どうぞ一緒にお見守りいただけたら幸いです。