大沼ねこひ日記

高崎→東京→北海道大沼へ移住したひさQの旅日記。2019年夏三月の羊・喫茶室「喫茶ねこひ」open!

あたりまえ ~平和へ2

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『クマのあたりまえ』魚住直子作、植田真絵、ポプラ社 
『おやすみの歌が消えて』リアノン・ネイヴィン作、越前敏弥訳、集英社

8月に予定している植田真展の予習で、12月からずっと植田さんの作品を読んでいます。多数あるので全部は買えず、函館市立図書館のお世話に(七飯町には小さな図書室があるだけなので、資料集めなどは函館へ。遠いので数か月に1度がやっとですが)。

忙しかった12月は絵本を開き、ようやく仕事が落ち着いて年明けからはじっくり読み物。写真右の「おやすみ…」はちょっとハードな内容で全部は無理だったのですが、表紙・裏表紙の絵がすばらしく(植田さんの作)、机に置いて眺めています。

魚住さんの『クマのあたりまえ』は中高生向けのYAコーナーに置かれている読みやすい作品。小品集なので私の生活スタイルにもなじみ、心地よく読了。「光る地平線」で老いたライオンが若いライオンに、夜明けを「美しい」と思うのは「生きているから」と話す場面に心打たれました。

続く、タイトルにもなっている「クマのあたりまえ」では、長生きしたくて石になろうとする子グマが石の真似をしてじっと横たわり、夕焼けをみて「きれいだなぁ」と思う場面で石に「石はきれいだと思わない」と諭され、やはり同じテーマを描いています。その後疲れ果てた子グマは星を見てもきれいだと思わなかった、という場面があるのですが、これにはドキッとしました。

実は私も今冬の始まり、(こんなこと初めてですが)雪を見ても「きれいだなぁ」と思うことができませんでした。忙しくて心が死にかけていたのでしょうか。今は、きれいだなぁと思います。

さて、今日は核兵器禁止条約が発効されてちょうど1年。5歳の時広島で被爆したYさんからいただいた被爆体験集を手に取りました。いただいた晩秋には、雪をきれいだなぁと思えない程疲れていたので、もう少し落ち着いてから読もう、読みたいと思う時にと取っておいたのですが、今日がその日。

ひとつひとつのお話は重みがあり、たくさんを読むことはできませんでしたが、ずしんと心身に響きました。息子2にも幾つかを読んで聞かせました。「原爆ドームって?どこにあるの?」というので、googleストリートビューで見られるよ、と教えると、早速自分で調べて中に入ってびっくりしていました。

がれきの残骸から、さっき聞いた「おはなし」がリアルにあったことで、今へ続いていることだと少し感じられたのでしょうか、だまってドームを出たり入ったりしていました。それから、体験談に出てきた「黒い雨」について一緒に調べてみました。

2021年1月22日から1年。世界は平和に向けて進んでゆけたでしょうか。
私は何かできたでしょうか。

最近めっきり賢くなった息子2に、「平和は大切、戦争はいけないと、ほとんどの人が思っているのに、どうしてなくならないんだろう?誰か得をする人がいるのかなぁ。どうしたら、平和になると思う?」と聞いてみました。

すると、思いのほかすぐに返事が返ってきました。9歳の息子の考えは以下です。

1★国と国がけんかをしない
2★ゲームばかりしないで勉強する(勉強をすれば解決方法がわかる。けんかになった時にどちらかでも頭がよければ解決できるかもしれない)
3★武器は使わない(男は武器を使うなとお兄ちゃんが言っていた)

すごいな、と思いました。私は40年考えて、どちらかというと個人の内面の変革について考えを進めていきましたが、息子2のアイデアを聞いて、ほんとにそうだ、実用的!と思いました。

個人レベルでけんかがあってもあれほどの悲惨なことにはならない、つまり1の「国と国がけんかしない」を守るだけで、すごく多くの人が救われる可能性があるんですね。

2は聞いてとても嬉しかった答えです。そう何度も言っているわけではないけれど、普段ふざけてるようでいて、私が心の中で考えて大切にしていることが伝わっているんだなぁとホッとしました。

私、戦争をなくすには、やっぱり勉強することがとっても大切だと思っているのです。これまでの歴史を学ぶことや、いろんな暮らし方や考え方の人がいると知ること、論理的思考を身に着けること、感情をコントロールできるようになること、共感することなどは、ほとんどトレーニングで身に着き、どれも平和に繋がる道ですから。

ゲームは否定しないけれど、ある程度人との触れ合いや実体験をしっかりして、本を読む楽しみや習慣が身についてからでないと、あっという間に逃げ場所・中毒になりかねない魅惑があるから、今の時代で子供たちがゲームとうまく付き合うのは難しいことだと思いますが、9歳くらいになってからだといいのかなぁと個人的には思います。

そして3、これに当たるのがまさに「核兵器禁止条約」です。昨年平和への第一歩、と書いた時には言葉が上滑りして、実感することはできていなかったとわかり、恥ずかしくなりました。私は9歳の息子のシンプルな言葉を聞いて、ようやくその大切さを腑に落とすことができたのです。

戦争があることを「仕方ない」「当たり前」と思ってしまっている大人の社会を、意味不明な長文の多い習慣を、私たちは打ち砕かなくてはいけません。子どもたちに、目の曇りを洗い流してもらわなくては。

「ここに書いてある戦争はどうして始まったの?」
続けて息子から尋ねられたことに、きちんと説明できない自分がいました。漠然としかわかっていないことが、次々出てきます。

子供たちにもわかる言葉で説明できるように、時間はかかるけど、一緒に少しずつ解きほぐしていきたいと思います。息子が考えてくれた平和を守るための3つのことは、忘れないように紙に書いておきました。

この被爆者体験集には、当時小さかった子どもたち、子連れのお母さん、まだ女学生だった少女たちの体験談が率直な言葉でつづられています。当時大変な体験をしただけでなく、戦争が終わってもその後の人生にずっと戦争が続くということに、改めて衝撃を受けました。ねこひの本棚に置きますので、ご興味ある方は春になったら見に来てください。

小さくて ささやかで そっと存在するもの
それが大事にされる社会は きっと戦争なんてしない

私はそう信じています。
子どもたちの平和が、守られますように。そして、戦争はしないのがあたりまえ、と全ての大人が言えるように。