大沼ねこひ日記

三月の羊の製造以外(企画、営業、広報、売り子 +マイフィールドの喫茶、絵本、gallery)を担当。高崎→東京→大沼へ

プーの森へ


私が小学2、3年生くらいのとき、母が子どもの頃読んで大切にしていたという
茶色の箱入りの『クマのプーさん』と『星の王子様』を手渡された。写真のは違うよ。
私なら読んでくれそう、と思ってくれたのだろうけれど、その古めかしい本は
とても入り込みにくかった。何とか読んだものの、なんかこう、ものすごくぎゅっと
心を掴まれる本、にはその時はならなかったんだ。

今、コロボックル物語5冊と別巻1冊を子どもたちと読み終え、次にムーミンを少し
読んだところで、テレビでプーが出てくる映画のCMが流れた。それを見た息子2が、
うちに『クマのプーさん』があると知って読んで読んでうるさい。
まだほんわかしていた息子1と昔読んだころを思い出して、幸せな時間だったなぁと
振り返る。またプーの森に入れるなんて。

手元にあるのは、実家から送ってもらった新しい方の『クマのプーさん』。ウイリアム・モリスの
装丁が美しいこの全集は、岩波少年文庫創刊40周年の記念に出版された特装版だそうだ。
茶の間の弟の座る場所の後ろにさりげなく置いてあって、背表紙がきれいだなぁと思いながら
過ごしていたけれど、ちょっと大人っぽい装丁と字の大きさで、手あかのつくこともなく眠っていた。
それを送ってらったものが上の写真。サイズといい装丁といい、すごくすてきな本。

三度プーの世界の扉を開くと、改めてその愛しい森の魅力に目を見張る。
地震のことを子どもたちがどう受け止めたのかはわからない。
けれど、いつも通り毎晩、全く平和な物語の世界を散歩する。
それが、少なくとも私にとってはとてもほっとする時間。
息子1の時、2冊目の最後、少しせつない気持ちで森を出たけれど、
そうか、いつでも帰ってこられる場所だったんだね。