大沼ねこひ日記

三月の羊の製造以外(企画、営業、広報、売り子 +マイフィールドの喫茶、絵本、gallery)を担当。高崎→東京→大沼へ

息子ひとり旅


「日本地図をばらして小さい日本ができるよ。」
夏だったか、息子1が見せてくれました。北海道は裏返した静岡。

今年は皆さんに見守っていただいた長男がとうとう13歳に。武士の時代なら元服。ひとり立ちの時だなぁと感慨ひとしおです。思えばお腹の中にいる時からお客さんに愛情をかけてもらい、赤ちゃんの時はダンボールの家に入ってレジの横にいたり、店と共に育ってきた彼。

いつの間にか私と背が並び、脳トレゲームの脳年齢も親を上回るように。空が広くなり空気が澄み始めた頃、「一人旅してみたい」と言いに来ました(おっついに来たか^^)。そして紅葉の深まり始めたある秋の朝、自転車で駒ケ岳一周(60km)のひとり旅へ旅立ちました。

地図を広げてルートを考え、本人主体の計画に私も夫も少しだけ相談に乗って、自分の時の自転車旅の支度を紐解きながら最低限の道具はこれ、と修理のマストアイテムを渡し、内心少しソワソワしつつそっと見守りました。『魔女の宅急便』みたい。

部活や天気のこともあるので、いつになるかなと様子を見ていると、ある日「明日行って来る」とのこと。うちは携帯・スマホを持たないので、予定ルートだけ確認し、何かあったら公衆電話で電話してね、とテレカを渡しました。困ったら周りの人に助けを求めてね。

やりたい事があると、すぐ「よっしゃ!」と腕まくりして全力で取り組んでしまう私と違って、息子1は実に淡々と穏やか。当日も何の気負いもなく、フツーに起きて、ゆったり朝ごはんを食べているので、変わりやすい天候が気がかりな私はつい早めに出た方がいいんじゃない?と急かしてしまいました。

結果、本人が予定してたより若干早く出たために却って寒かったかもと少し反省。本人なりのスピードが一番とわかっていても、これが母心ってやつか、と自分にも苦笑しながら見送りました。(暗くなって鹿部線を走るのは危険だし、それはそれで適切な声掛けだったかな)

特に疲れた様子もなく、予定より少し早くお土産まで買って帰ってきた息子1。道が狭いので車との接触が何よりも心配だったのですが、無事に帰ってきてほっとしました。本人は少しだけ自信のついた穏やかな明るさで、取り立てて何かを自慢するでもなく、やっぱり淡々としていました。

きっと本人の中では見た目より様々な変化があったのでしょう。息子1らしい、清々しい旅立ちでした。本当に「やる」ってこういうことか、と心が洗われる思いでした。確実に、13歳になっているなぁと感じられた出来事。

11月に倒れていた最中、突然私はこれまでの子育てで「13歳の彼に<真っ白な未来とどこでも走っていける感覚>を用意してあげたかったんだ」と気づきました。13年、あるいは助走を入れると長い長いプロジェクト。

できないことだらけのダメ母だったけど、それが一番大事にしたかったことだったとわかった瞬間、できてるじゃん!と少しホッとしました。

きっとみんなそれぞれにこれという大事にしたいポイントがあって、1番を叶えて生きてゆくのでしょう。だから、それでOKということにしましょう(^^)/ 

何でもかんでも最高って訳にはいかないけど、自分が何を大切にしてきたのかを明確にできたら、納得と充実感が得られます。

両手放しとまではいかないものの、まずは一匹。肩の荷が、少し軽くなりました。
さぁ、次は息子2!

まもなく冬至。新しい季節の始まりですね。
健やかで明るい一年となりますように。


息子1が作った来年の干支