大沼ねこひ日記

三月の羊の製造以外(企画、営業、広報、売り子 +マイフィールドの喫茶、絵本、gallery)を担当。高崎→東京→大沼へ

ガンバ

4月、息子らがふたりとも小学生になったので配布物も半端なく、連日10枚のプリントに目を通し、「いる、いらない(一人の方で見た)、申込(ハンコとお金)」と仕分けし、
マネージャー業も大忙しでした。先生はもっと大変だろうなぁと思いつつ
(先生兼家庭のマネージャーだったらパンクしそう^_^;)、なんとかあと一日で4月終了。
毎朝7時過ぎにふたり元気に家を飛び出してゆき、ほっとひと息。

 

さて、子どもらと3月に夢中になっていた「銀河鉄道999」に続いて、4月はガンバ。
前にもちょっとご紹介した斎藤敦夫さんの『冒険者たち』(アニメ版は「ガンバの冒険」)です。

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3部作になっていて、『冒険者たち』を気に入ってすぐに完読した息子1のG.W.用に、
他2冊も借りておきました。『グリックの冒険』がそれ以前、カワウソがそれ以後の
お話です。息子1はすでにグリック完読。薮内正幸さんの絵もすばらしい!

私は息子2に声を出して読み進めているので、『冒険者たち』がようやく終わりに
近づいたところ。しっかりしたボリュームがあり、自分で読むなら高学年向きなので、
息子2にはちょっと表現が難しいところは噛み砕き、アニメも見せてイメージを補っています。
どちらもすごく面白く、子どもたちも私も夢中です。

原作は玄米のように噛めば噛むほど味わい深く、大人になった今は作者である斎藤敦夫さんの思いのようなものがじわっと伝わってきて、内心うるうるしながら読むこともあります。

最近のアニメは男女向け問わずなぜが安易に戦いをするものが多く、それもやっつけて終わり、という感じ。リメイクされたTV版「ゲゲゲの鬼太郎」を多少楽しみにして見ていましたが、昔の鬼太郎に比べ鬼太郎が「たたかってやっつけるヒーロー」として描かれていることに違和感を感じます(個人的な感想です)。

冒険者たち』は、平和な倉の中でジャガイモを食べて何の不足もなく暮らしていた町ネズミの
ガンバが、友達に促されて重い腰を上げて海を見に連れられた先で仲間と出会い、
いつの間にかリーダーという立場で、魔性の白イタチ「ノロイ」のいる島へ、ネズミの仲間忠太の家族を助けに行く物語です。


そして実際に島へ行ったガンバは、最後には忠太の為ではなく自分自身の意志で、自分の為に戦います。今、世の中は誰かの為に役に立つことを一番大切とうたい、素直な子どもたちはともすれば「人の役に立つ自分」を目指して必死でがんばります。それも大切なことかもしれませんが、そこには1つ、とても大きな落とし穴があるように思います。


人は決して、誰かや何かの犠牲になってはいけないと私は思います。とっさに、自然にそう動くことはあっても、前々から「人の為に命を捨てること」が善であるとか、その方が美しいと説くことは大変な危険を孕んでいると思うのです。戦うなら、自分の為に戦うべきです。(形やきっかけは誰かの為であったとしても)

 

べたべたしない粋な友情と恋心、自立してゆくガンバの内面を細やかに描き、イタチとの戦いの繰り広げ方も実にユニークなアイデアに富んでいる『冒険者たち』。
すばらしい本ですが、展開はゆっくりすすみ(ハリポタと対極)、ご飯で言ったら玄米のようなタイプなので、これを噛み砕いて食べられる子どもたちは、残念ながら視覚メディアに慣れてしまった現代では少数派でしょうか。それでも火を絶やすことなく、少しでも子どもたちに引き継がれてゆくことを望みます。

 

何より楽しいので、未読の方はぜひお手にとってみてください。