大沼ねこひ日記

三月の羊の製造以外(企画、営業、広報、売り子 +マイフィールドの喫茶、絵本、gallery)を担当。高崎→東京→大沼へ

大寒の卵

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大寒ですね。実際の気温とは多少ずれるとはいえ、ここが底で全てはもう春に向かってゆく、と思うと少しほっとします。

大寒に生まれた卵を食べると1年病気にならないのよ、といつも卵をいただいている有機農家ついき農園のお母さんが話していました。パウンドケーキにもこの卵を使っています。今月中に出す分は、たぶんこの大寒卵を使うことになるでしょう。

たまに家用に白い卵を買うことがあるのですが、子供たちは「わー白い!すごい!この卵日付がついてるよ!」ととってもびっくりしていました。

北海道に来てから、養鶏が身近な存在になりました。私は目の前の動物と同調してしまう癖があるので、動物園もゲージにぎゅうぎゅう並んでいる鶏を見るのもちょっと苦手なのですが、ついきさんの鶏は平飼いで、お母さんから家族のように大切にされていて、心が和みます。

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「私が子供の頃食べてた卵のような味がまた食べたいと思って作ってる」のだそうです。世の濃厚をウリにする卵とは一線を画し、とてもさっぱり上品な味がします。白身にプリッとコシがあるのが特徴。

近くの山田農場さんからも卵を使わせてもらったり(残念ながらキツネにやられて全滅)、あかり農場から卵をいただくこともありましたが、それぞれ違った味がします。食べているものが生命にいかに影響を与えているかを実感できます。

子供たちと仲良しの若者Yさんのうちでも鶏を自家用に飼っているのですが、イタチやキツネの襲来を防ぐのはとても難しいそうです。一昨年は子供たちが廃鶏にする場面に立ち会わせてもらい、大変貴重な体験をさせていただきました。

ゆでたものの毛をむしったり、最後まで熱心に手伝ってくれましたよ、と仕事が終わってから駆け付けた私にYさんが様子を教えてくれました。まだそこから、丸鶏を捌いてカレー用の小さな肉になるまで小一時間かかりました。

初めてそれを見たときは自分もトリをしばらく食べられなかったと語るYさんの心配をよそに、カレーになったかなり固いトリを、子供たちができる限り食べきろうと必死でくらいついている様子が印象的でした。普段は好き嫌いの多い息子2も残さず食べていました。生きていた時に何度も餌をあげていたトリたちでした。

パウンドケーキは小麦粉・砂糖・卵・バターが全部1ポンドずつ配合されることから名づけられたとのこと。三月の羊のパウンドケーキは、プレーンであればほぼその基本の4つしか入っておらず(塩がほんの少し足されますが)、4つとも北海道で採れたものになりました。移住後パワーアップしたお菓子のひとつです。

20年の歴史の中でバターや卵を使うことをやめようか悩んだ時期もありましたが、色々な考えを一巡り知ったうえで、長年の人の歴史の中で培われてきた伝統的なもので、自然な作り方をされている素材であれば使うのがまた自然かな、というところに落ち着きました。寒い季節にはこっくりしたお菓子が、やはり美味しいです。

今日は岡山のFine fineさんへお菓子を送り出しました。みんながんばれー。         
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        (Fine fineさんで買える特別バージョン仕様のパウンドケーキ)