大沼ねこひ日記

三月の羊の製造以外(企画、営業、広報、売り子 +マイフィールドの喫茶、絵本、gallery)を担当。高崎→東京→大沼へ

不思議の中にいる


少し前から、私たちはワクワクしている。身の回りに食べられるものが次々出てくるから。「土筆が出てるよ、お母さん」息子が教えてくれる。でも、もう食べない。他にいっぱい美味しそうなものが出てくるから。

行者ニンニク、葉わさびは間違いなく美味しいけれど、カンゾウも食べられるらしいよ、と夫が茹でる。和えた手作り味噌が強すぎて、よくわからなかった(^_^;)

ちょっと気を抜くと、同じような味のものもある。でも、しっかり味わうと、違いがバラエティに富んでいる。

その時の気温や雨の降り具合で、どんどん食べ頃が過ぎてゆく。毎年一番楽しみにしているのはヨモギ。柔らかい赤ちゃんみたいな時に摘むとほんとに柔らかくて香りがいい。あんこがよく合う!


今年は早くから目を掛けていたので、ベストシーズンに息子2が摘んでくれた。私はしゃがむのが難儀なので息子待ちなんだけど、帰りがたまたま早くて晴天の日だったのが良かった。

見た目は微妙だけど、外れなしで子どもが手伝いやすい「白玉粉ヨモギ団子」がうちの定番になった。ちょっと前まで不揃いでまん丸の生茹でになりそうな団子を転がしていた息子が、今年は私の「ヘモグロビン」をよく見て、わりと均一な大きさと形で、全く寄り道せずに作っていてすごくびっくりした。

へびとかつちのこの形は、もうないんだな。嬉しいような寂しいような、でも確実に大人に向かっている息子にじんわりした。「真ん中をへこますのはどうして?」「はじっこは火が通りやすいけど、真ん中は火が通りにくいからだよ」「あぁそうか。」会話が大人!

「団子丸めるけどやる?」6年生だからもう来ないかな?と思ったけれど、毎年のことなので体が勝手に引き寄せられてくるみたい。一連の作業をひとりでやったら大変だけど、ふたりで手分けした上に、今年は前日にヨモギを茹でて絞っておいたのを、すり鉢ですりつぶすところからやったので負担が少なかった。

最高のヨモギを摘んでもらったことに感謝し、今年の味を味わった。2人だけのヨモギ団子作りは、3人の時より落ち着いていた。少し兄を思い出したのか、二階に上がった息子2が「N(兄)どうしてるかな?Nに会いたいな」とつぶやく。

しばらくお互い言わないようにしていたから、口にできる状態になったんだなぁと思う。「会いたいね。もうすぐだね」カレンダーを確認する。

 


外の世界から戻ってきた時、ここはどんな風に見えるんだろう。コンクリートの少ない、人より鳥が多いこの場所が、きっとすごく不思議に見えるんじゃないだろうか。

私たちは不思議の中に暮らしている。