大沼ねこひ日記

三月の羊の製造以外(企画、営業、広報、売り子 +マイフィールドの喫茶、絵本、gallery)を担当。高崎→東京→大沼へ

夏のお菓子お知らせ

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オレンジのショートブレッド(通販とご予約)
愛媛産・福原オレンジを使ったショートブレッドです。苺ショートブレッドのオレンジ版と思ってください。主に通販お取り扱いで、店頭にはないことが多いのでご予約を。

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スペシャル缶(通販とご予約)
こちらも店頭には出ていない裏メニュー「スペシャル缶」。ありそうでなかった全部入りです!

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2つとも、昨日から岡山のファインファインさん(雑貨屋)でいち早くお取り扱いいただいています。お近くの方はぜひ行ってみてください。もちろん、三月の羊通販でも買えます。

また、店頭では人気の卵・乳製品不使用シリーズがバナナからコーンへ変わりました。
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こちらもようやく半袖が着られるようになり、夜はまだ寒いですが間違いなく夏モードです。短い夏を楽しみましょう♪よろしくお願いします!

■通販…三月の羊オンラインショップ
■お店…店舗販売: 三月の羊 北海道

 

 

 

祈り

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(「ゆりかごのうた」 高濱浩子)

高濱さんのゆりかごのうたシリーズを見ながら、この絵から受ける感じは何かに似ているなぁと思っていた。少しして、丸木俊さんと思い当たった。母と子の、祈りに満ちたその願いの気配が、丸木さんの絵を見ているときの感じ方を思い出させた。懐かしく強くあたたかいような、少し怖いような切実な気持ち。

そんな矢先、6月23日沖縄慰霊の日を前に、NKHの「日曜美術館」で丸木夫妻の特集をしており、夫妻の傍で過ごされた姪のひさ子さんが、まさにリンクするワードをおっしゃっていた。丸木俊さんの絵は全て、「母と子の、当たり前の生活があることを願ってのもの」。冬にいただいた高濱さんのDMで、沖縄のおばあが放った言葉と奇しくも同様の意味合いだった。高濱さんの現在の作品もやはり、命に向き合い、祈りに満ちている。



私は丸木夫妻に、大きな影響を受けた。絵も好きだけど、それ以上に夫婦の在り方を学んだ。西荻窪で、結婚生活と初めての自営業生活が同時に始まり、心も体も全くゆとりがなくて夫婦喧嘩を繰り返していた頃。

店づくりに対して、お互い良いと思うものが器ひとつとっても違い、お互いを受け入れ合えない。妥協できない。自分を曲げるのは何か違うと思って、決定を延ばして更に話し合い、探すうちにようやく見つかるものがあった時、それはより幅のある、確かな普遍性を持っていた。

それは私だけが選んだもの、彼がひとりで選んだものよりも、明らかに多くの人の為に開かれ、それにして良かったと心から思えるものだった。実体験からうっすら気づいていたものの、夫婦の形の手探りはしばらく続いた。

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西荻窪の店内で行った『ロシアのわらべうた』原画展より 絵・丸木俊

結婚から数年経ったある時、同じ中央線沿線の阿佐ヶ谷ラピュタで丸木夫妻のドキュメンタリーが上映された。夫妻の絵も、母のスマさん、姪の大道あやさんの絵も好きで著作も読んだが、生きた映像をまとめたものを見るのはほぼ初めてだった。

その中では、夫妻が水俣病患者を尋ね、絵を描く工程が主に紹介されていたと思うけれど、個性の強いふたりがどうやって長年連れ添い、仕事でもパートナーとして関わったのかとても気になった。人に媚びず、意思の強そうなふたり。どうあってもヒントを見つけてやろうと、私はじっと見ていた。

ひとつの目的に向かってやっていく時、自分というものはなくなるんですよ、というようなことを、その映画の中で俊さんはおっしゃっていたように思う。ふたりが同じ思いでひとつの目的を持って作品を作るとき、自我のない無心で良いものを作ろうという気持ちだけでやるときには、その視点からはどちらの意見が採用されるかはどうでもいいこと。

15年近く経つので記憶に頼ることになるが、その映画の中から私が見つけたヒントはそういうものだった。私は必死でそれを生活に応用した。決め事でふたりの意見が異なる場合はまず自分を手放し、どうしたら「店にとってより良い」か、という視点で考える。もちろんそこには「お客様にとっても良い」という視点も含まれる。夫にも、自我を手放して話すと自然と伝わるものがあり、話し合いは以前より上手くいくようになった。

逆に間違ってると思えば、ただ自分の意見を手放すのではなく、やはり店の為と思ってこうした方が良くなると思うと伝える。どちらかの意見を採用する方が楽ではあるけれど、やはりどちらかが我慢したりただ自分を通すのではなく、このやり方(一方が折れるのではなく、対話から見い出すという方法)で決めた方が結果的には良くなると実感できることが積み重なっていった。

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一緒にいることばかりが正解とは思わないけれど、一緒にいる人たちと気持ちよく生きて行けること、自分を隠したり人に合わせすぎるのではなく、その人がその人のままで心地よく生きられる状態を作ることが、地球上のメンバーが平和に生きることにつながると心から思う。

沖縄戦で犠牲になった方々のご冥福を祈り、改めて今生きている私たちが、どうしたら違う価値観を持っていても戦争をすることなく平和に生きていけるのか、そのヒントを、丸木夫妻はたくさん残してくださった。

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その祈りは未来永劫続くよう、全てを込めて絵に託されている。埼玉の丸木美術館だけでなく、沖縄にも夫妻の「沖縄戦の図」が見られる美術館があると日曜美術館(再放送は6月27日20時)で知った。いつか必ず訪れようと思う。

丸木美術館(埼玉)

佐喜眞美術館(沖縄)



花とお菓子

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こんにちは。みなさまいかがお過ごしですか。日めくりカレンダーが、気づけば6月15日のままでしたがもう夏至ですね!ほとんど出かけることなく仕事をしていましたが、何だか日にちがわからないような日々でした。衣替えしたばかりでまたフリースを出すほど寒い日もあったり、混とんと1か月。

でも、お庭の草花は次々開花。花瓶が全部庭のお花で飾れる季節、嬉しいです。我が家の庭は園芸品種が少なく雑草天国なのですが、住んでいると少しずつ少しずつ植生が変わってきて、基本メンバーのほかに毎年違う草花が1つ2つ出てきます。これがとっても楽しみ。

さて、今月も週末に岡山の雑貨店Fine fineさんへお菓子を送ることになり、合わせてオンラインショップでも、限定購入できるリス缶をご紹介します。

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いつもはラムラムが入っている「クルミ缶」に、限定20缶だけリスバージョン「リス缶」♪基本はオンラインとご予約で、売り切れ次第終了します。

この他今までありそうでなかった、三月の羊のクッキー類&メレンゲの全部の味を楽しめる「スペシャル缶」や、「オレンジのショートブレッド」などもお届け予定です。

オンラインショップにしか出ていない商品もありますので、良かったらチェックしてみてください。今週順次アップします♡

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新緑の焼き菓子セット

三月の羊オンラインショップ


ではでは、今週もお元気でお過ごしください^^

 






 

庭のベリー図鑑(結実編)

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ベリーたちが次々に実を結び、幸せな光景。半透明の飴玉みたいなグーズベリー
庭のベリー図鑑(開花編) - 大沼ねこひ日記 (hatenablog.com)参照)

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レッドカランツ

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ブルーベリーの中でもひときわ実の大きな「チャンドラー」の花。
もう実が付き始めているものもあります!

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これは、何の花かわかりますか?先日の「開花編」の時点では咲いていなかったし、プロペラのようなたった4枚の花弁は下を向いて咲くのでこれまでどんな花か知らずにいました。ちょうど雨の季節なので、見逃していたのかな。よく見ると、可憐ですてきですね!花弁が落ちた後は下のようになり、3つのボンボンの右上の結実している様子がヒント。

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正解は、ゴージャスな赤い宝石のようになる「ラズベリー」でした。

これは何の葉でしょう?

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群馬でもよく見かけた切り込みが特徴的な葉っぱ。ヒント、養蚕に使われます^^

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そう、桑です。葉影についた実は、これからもっと膨らんで<硬そうな黄緑→透明感のある赤→コクのある紫>へ熟してゆきます。養蚕の盛んだった群馬では私の小さい頃はまだ桑畑を見る機会があり、季節になると道の駅などに出る実で母が作ってれる「桑の実ジャム」が大好きでした。今はスーパーフード「マルベリー」として再び注目されていますね!

そしてそして、感動することがありました。

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開花編でトップを飾った「ハスカップ」が、とうとう結実しました!!!
5年以上花を咲かせているだけで一向に実らなかった木ですが、お友だちを得て2本とも実っていました^^

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わーーーー感激☆★☆
収穫したら地植えする予定なので、いつかは広がってゆくのかな。

芹沢がせっせと手をかけ、時には冬ネズミにかじられてダメになったり、雪で折れることもあったベリーたち、10年経ってようやく形になり、皆さんにご紹介できる程に成長してきたことが、傍で見ている私も嬉しいです。全て無農薬栽培しています。

P.S. ブルーベリーは少し販売できる程度に収穫できそうなので、「いしや」は夏はそちらを手伝うようです^^

 

 

 

大地と溶け合うように~展示の詳細2

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開け放った窓から様々な鳥の声が響いて、森の葉がどっしりと茂り、影を作ります。
展示詳細のつづきです。

(6)ベンガルにて
2008年、インドの詩人タゴールの絵との出合いに導かれて、高濱さんはインドへ留学します。こちらの絵と共に、当時の様子がわかる私家本と写真帳もお借りしました。都会的でおしゃれなイメージの高濱さんが、大地とのつながりを経て大きく作品の雰囲気を変えてゆくときです。
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留学中に描かれた作品。

(7)「黄金の大地」2011年(★シリーズ 13枚)

泥石を使ってインド・スペイン帰国後に描かれたシリーズ

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繊細なので画面では伝わりにくいですが、何とも言えない色合いで、金色は角度によって光を含みます。

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★「ゆるし」2011年 額入り


(8)ゆりかごのうた

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ドキッとするような作品群です。体内にいた時の記憶を引きずり出されそう。
作品には作家が手ずから漉いた和紙が使われています。ダンボールと和紙の質感に乗った藍色が深く心に沈んでゆきます。他にも数点あり、ご興味ある方は個別にお見せします。

(9)カリンババンガ 2020年★

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フィリピンのコーヒーの森にすむシラボシガラ(現地ではカリンババンガ)。森林農法を取材した記事は「coyote no.71」で読むことができます。

(10)画集「眼(まなざし)」(33ページ)★1,100円

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今回の作品展は、今年出版された画集を主に構成されており、ねこひ日記で紹介した詳細の(7)(9)以外の作品がほぼ載っています(ただしシリーズものは同じグループの別の作品)。ご自身の半生を交えた作品の道筋を一緒に辿ると、一人の人の中にはなんてたくさんの時間が入っているのだろうとため息が出てしまいます。

画家であり、詩人であり、哲学者。そして旅人である高濱さんが凝縮された一冊です。カードと一緒にいかがですか。

☆三月の羊オンラインショップからも買えるようにしました。(近々中の写真載せますね!)→ 『眼』(書籍) - 三月の羊オンラインショップ (fc2.com)

 

 

赤と青、色と色 ~展示の詳細1

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6月10日の店内です。入り口扉の羊の影が壁に映って揺らいでいました。今日展示はまなざし展のコーナーを幾つかに分けて順にご紹介します(販売品は★)。
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(1)「マゼッパ」1998、クレパス
小さめなのにとても存在感のある1枚です。

(2)Cadiz あおいまち 2006、クレパス
2006年西荻窪・三月の羊での展示風景が少しだけ残っていました。
かつての店内の様子です。

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左に小さなテラスがあり、そこにも洗濯物のように展示作品が。

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ぶらーんぶらーんとしていました。それから店内奥の間。

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これらの一部が、今回2021年大沼・三月の羊にタイムスリップ
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★「あおいまち」(額装品、一番上の写真参照 )/★「あおいみち」(小箱 3点)

(3)ゼンマイカムパニー小品 アルバム2冊★
西荻で出会った頃の高濱さんの活動が収められているのがこちらのアルバム。

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ゼンマイ時代の線は相方の三木重人さんが描いています。

(4)The travering stamps(最近のもの)

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昨年好評だったシリーズ。年々深みを増してゆく高濱さんの色が旅してきた切手と響きあい、これから旅するかもしれないカードとして販売されています。80枚全て違うので、通販の方は全部お見せすることができないのですが、好きなカラーや切手の雰囲気などを教えていただければお届けできます。★1枚300円(税込)

(5)私書箱1284(2007年~) 4冊★

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ぱたんと閉じられる冊子タイプの作品です。今回は見やすいように開いて額装展示しました。
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貿易商をされていたお父様の残された世界中の使用済み切手から触発された思いがあふれ出るように、インスピレーションのままに筆を走らせる高濱さんの奔放さと都会的なセンスの光る作品。お父様宛のエアメールが届いていたのが神戸中央郵便局私書箱1284番でした。

つづく

 











 






高濱浩子作品展「まなざし」・明日から!

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先週高濱さんからどさっと宿題を受け取って、幸せなプレッシャーで1週間。大切な作品たちをお預け頂いて、私にできるかしら…と。どう展示したら、作品が生きる形になるか、高濱さんのことが伝わるか、作品とお客さんの良い出会いの場になるか。

ある程度構想を持っても、やり始めるまでわからず、知子さんの助けも借りて3日ちょっとで何とか形になりました。お越し頂けない方の為に、ここでも展示の雰囲気を味わっていただけるよう、入口を入って左の壁から時計回りに写真を載せますね。

入口からほぼ時系列順に並べ、全体をぐるっと見渡すと25年以上に渡る高濱さんの作家活動の流れがわかるようになっています。

2006年西荻窪の三月の羊で展示した「あおいまち」のコーナー

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スペインを旅して吸い込んだ港町を作品化。額装作品と小箱を販売。どちらも希少品です。以下、販売作品は(★)マーク。

右隣、ゼンマイカンパニー時代のアルバム(★)と、「The traveling stamps」(★)。

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右隣、2007年からの「私書箱1284」シリーズ。合計4点あるうち2点のみ展示。
他2点をご覧になりたい方はお声がけください。(★)

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お次、喫茶スペース。
2008年インドへ留学した時の作品と、持ち帰ったベンガルの泥土で描いた2011年の「黄金の大地」シリーズ(★)。

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こちらも、13作中8点のみ展示しましたので、ご覧になりたい方はお声がけを。

メインコーナーは2021年展覧会「ゆりかごのうた」から3作。手漉きの紙を使った貴重な作品です。こちらも飾り切れなかった作品があります。右壁の赤い鳥の絵は2020年フィリピンのコーヒーの森を取材した時に出会った「カリンババンガ」(★)。

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最後に、「黄金の大地」とひとつづきの「ゆるし」(★)

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雰囲気が伝わったでしょうか。緊急事態宣言下でご来店の難しい方も多いと思いますので、販売作品は後日詳細をご紹介し、気になる方はお問合せいただき発送できるようにしたいと思います。

ひとつひとつの作品のすばらしさはもちろんのこと、その時その場と真摯に向き合い続けた作家だからこその、ダイナミックな作品の変化もお楽しみいただければと思います。絵と出会うべき方との良い出会いがありますように。

明日の店内がどんな気配で満ちるのか、とても楽しみです。
高濱さん、ありがとうございました。いつも展示に力を貸してくれる知子さんにも心から感謝いたします。

 

高濱浩子作品展「まなざし」 
期間:2021年6月10日(木)~7月18日(日)
場所:三月の羊 (焼き菓子・パン・喫茶・ギャラリー)
営業日時:木~日曜 10:00~16:00