大沼ねこひ日記

三月の羊の製造以外(企画、営業、広報、売り子 +マイフィールドの喫茶、絵本、gallery)を担当。高崎→東京→大沼へ

『りすとかえるのあめのたび』原画展始まります!


いよいよ植田真さんの原画展始まります。店内にしっくり収まって、壮観です。挿絵や著作絵本は私が調べただけでも40作以上ありますが、今回は特におすすめの絵本と、グラスやカードゲーム、販売用作品をご用意しました。ぜひ原画と合わせてお楽しみください。準備出来次第、通販でも購入可能です。


裏表に絵がついています。サイズはビールグラスくらいで、よく見るタイプよりも厚みがあり、程よい安定感。限定10個なので気になる方はお早めに。


今回販売用に、描き下ろし作品3点を寄せてくださいました。(額17㎝×17㎝)

 

工藤千紘絵画展まもなく終了です


苺・ココア・ラムラムの入ったプチセットできました。店頭・大沼公園観光案内所で販売中☆

日中はじわっと湿度のある日が続いていますが、夕方からの気温の下がり方が秋めいてきて、紅葉の一番手白樺の葉が黄色く舞い落ちる様を見ると、もう夏が終わりを告げていることがわかります。蝉の鳴き方も弱まり、庭ではフジバカマやアキノキリンソウ、とうとう萩も開花しました。

<お知らせ3つ>
1*8/12北海道新聞(道南版)「みなみ風」で展示についてご紹介いただきます。
  工藤さんの絵画展は14日まで。気になっている方はお見逃しなく!
  最終日は15:30以降搬出することがありますのでご了承ください。

2*今日もトマトのキッシュをご用意しています。

3*ガロハーブガーデンさんの盛夏ハチミツ、雨が続いて少し遅れていますが、まもなく入荷予定です。届き次第販売を始めますのでお楽しみに!

 

 

8/11はキッシュを焼いています


明日11日は祝日なので、いつもは土日限定の「季節の野菜の豆乳キッシュ」をご用意しています。全粒粉のサックリした皮生地に、トマト、ニンジン、ホウレンソウ、ベーコンなど野菜がたっぷり入った豆乳仕立てのキッシュ。ついき農園さんの平飼い卵を使った優しい味のおかずパイ。食欲のない夏の朝は冷蔵庫で冷やしたまま食べるのもお勧めです。

 

 

 

『りすとかえるのあめのたび』原画展(8/18ー9/18)

来週から始まる植田真さんの『りすとかえるのあめのたび』の原画が、西荻窪ウレシカさんから到着しました。この後は静岡へ。大切な原画を信頼して預けて頂けた事に感謝し、間近で見る植田さんの原画に改めて感激しました。

水墨画のような繊細な絵柄は、私のカメラで捉えきれない美しさ。ぜひ会期中お店で実物をご覧ください。今回は原画8点を展示。他に販売作品・絵本・グラスなどのグッズも少しお預かりします。

絵本は既に販売中☆




旅をする約束をしていた仲良しのりすとかえる。「こんなあめふりじゃたびにはいけないや」と思っていたりすのところに、「こんないいひにたびにいけるなんて!」と意気揚々とやって来たかえる。旅支度をして、ふたりはいよいよ本格的な旅へ出発します。
雨の音と森の湿度が伝わってくるような絵が見開きいっぱいに展開されて、読んでいると一緒に船に乗っているような心地よさです。


読んだ後、雨が降っている日が何だか心楽しくなり、どこかでふたりが旅をしてるかなと思い浮かべてしまいます。

『りすとかえるのあめのたび』をお買い上げの方への特典「雨の日新聞(裏はポスター)」もとってもすてきです。絵本と販売作品は期間中三月の羊通販でもお取り扱い予定。遠い方はぜひ覗いてみてください。

絵本の中と、まるでひとつづきのような雨の大沼でこの絵本を開く幸せに加えて、原画が並ぶ日。きっと他の場所とは違う空間が、そこに現れるでしょう。

 


前作『りすとかえるとかぜのうた』とセットでおすすめ(いずれもBL出版


 

 

ベイカー~揺るがす


コロナ以降、人の流れのアップダウンが激しく、予想がとても難しいので、賞味期限の短いパンを十分ご用意することが難しいなぁと感じていた日々。

今週も、昨日は早々に売り切れてしまったけれど、今日はお天気もいいのにパンは余ってしまいました。余ることが多いと焼く量も減ってくるので、欲しい人が来た時にはないという悪循環。

コロナ対策の観点からはお店をあまり盛り上げてはいけないのではないかという気持ちと、そうは言っても開けておくならある程度人を呼ばなければという気持ち、せっかく大沼に来ていただいた方には満足して帰って欲しいという色々なベクトルに程よい落としどころを考えていました。

新しいアルバイトのAちゃんと相談して考えた「ストックパンセット」を始めます。店内飲食の方のみで、コーヒーに+110円(予定)でつけられるストックパンのセットです。

内容はその時によって違いますが、例えばあんぱん1個、またはソーセージロール1個、またはスライスパンの場合は2切れくらい。ストックがある時だけで、内容もその都度変わりますが、運試しみたいなつもりでお楽しみください^^


以前、このブログで三月の羊の「パン屋ではない案件」書きましたが、最近Eテレのブリティッシュベイクオフを観ていて、三月の羊(芹沢)の仕事ってこういうことか、とようやくわかってきました(遅っ)。

日本だと「パン屋さんなの?ケーキ屋さんなの?」と細かいカテゴライズを求められるのですが、ヨーロッパだとベイカーとは、パンも焼くし、焼き菓子も焼く「焼く人」なのですね。

このことは芹沢から以前聞いていたのですが、あまりピンときていなかった私は、この番組で登場する人たちが、みんな違和感なく一続きのものとしてお菓子とパンを扱っている様子を見て、ようやく飲み込むことができました。

日本ではカテゴライズを求められる場面が多いので、長らく説明に困っていました。特に、変わったものを何となく受け入れ、個人個人が自分の好きな使い方を見出してゆく西荻窪の場所柄と違って、大沼でははっきりと「〇〇です」と名乗ることを求められ、もじもじしていると相手が「こうね」と自動的に判断して決まっていってしまうので、「ここで何と名乗ればいいか問題」は皆さんが思う以上に私には重荷でした。

また、昨今こちらから依頼していないのにいつの間にか食べログなどの情報サイトにお店についての掲載があり、お店を何屋さんだと思って来店したかによって、皆さんが期待したりがっかりされることが多く、もっとわかりやすくしていかなくちゃ、とパソコンにほとんど触らない夫の代わりに情報発信している私が悩んでいました。

分かりやすくするために極限までパンを少なくし、露出も控えてみました。でも、そうするとただパンが残ることが多くなり、何だか思っていたのと違うなぁという違和感が残りました

芹沢自身は、分け隔てなく焼き菓子もパンも心を込めて誠実に作っているのに、「パン屋ではないです」と言っただけで「パンを買うお店ではないのね」と見切られてしまったり、「タルトがウリです」と言ったらタルトが売れるという状況は、何だか変だなぁと思っていました。

だって、どれも美味しいですし、どれかに力を入れていて、どれかに手を抜いているというわけではないのですもの。

でも、夫に相談しても、本人は修行僧のように淡々と果樹を育て、お菓子とパンを作るという日々の実作業に専念しているので、ネット上でどう思われているかとか、皆さんにどうカテゴライズされているかにほとんど執着がなく、困っているのは主に私(^_^;) という状況が続いていました。

何か私の捉え方や伝え方に問題があるんだろうなぁとぼんやり思っていたのだけど、ブリティッシュベイクオフを観た時に、これこれ!という気持ちになったのです。

喧嘩の絶えなかった結婚後、「この人前世フランス人かも(笑)」と思う場面が多く、そう思ったら摩擦が減ったことがあります。「??」と思ったときにイラっとするのは「日本人なら普通こう思うはず」という常識を押し付けていたのですね。「この人はフランス人だ」という前提で結婚生活を送ると、うまくいきました。

妻も自分を下にすることなく堂々と意見を言う。堂々と大切に扱ってもらう。自分が遊びに行くときにも、別に何も後ろめたく思わずに「お願いね」と別に特別な作り置きや手配をせずに出かけていく。家やお墓についても、おかしいと思ったことは、相手を尊重しつつ、疑問を投げかける、というようなことです。

男女を逆転させてえばるわけではなく、対等な人間として、友達のように接するだけなのですが、女友達に話すと「旦那さん優しいね。」という言葉で片づけられるので私の世代でもまだまだ男女の格差があるのが日本の現状なのだろうなと思います。

この方式でやるなら、お店に関しては「この人前世フランスの修道僧なんです(笑)」という説明が一番しっくりくるかしら。

広島原爆投下の日、今まで以上に深く祈りをささげた朝となりましたが、あえてこの話題を書いたのは、こうした一人一人の常識を揺るがす作業が、核兵器の廃絶や世界の平和につながるものとして、きっと大切だろうと思うからです。

自分の常識に固執せず、違う目で世界を見る練習をすること。握りしめるのではなく手放してゆく方へ、向かってゆくこと。

意識の世界を変えたら、世界はもっと緩やかに過ごしやすい場所になる。
諦めることなく、私は心を揺るがし続けます。明日あなたと笑えるように。

 

 

手作りの火~原始生活便り2


大沼から車で2時間くらいの場所にあるピリカ遺跡は、縄文時代より更に古い旧石器時代の遺跡。敷設されているピリカ旧石器文化館では、火起こし体験が予約なし無料で気軽にさせてもらえる。

ひとりで着火までいくのは高校生男子くらいからと聞いたけど、何でも試してみたい私たち。ブンブンゴマみたいな構造で、ただ棒を両手ですり合わせるよりは、反動の分力が少なくて済む道具と、軸がずれないように工夫されて一番下におがくずが仕込んである板を係の方が用意してくれた。

5分くらい経って、少し下のおがくずが茶色くなってくる。でも、5分以上単調な作業を続けるのってすごい根気がいる。

係員のお姉さんが慰めるように「午後になったら係の人が来るから、火を起こすところを見られるかも」と言ってくれたけど、顔色一つ変えず、淡々と作業を続ける息子1の様子と今までの経験から、彼なら最後までできるかもしれない、と思え、本人もそう思っているのが伝わってきた。

微妙な変化を、お姉さんと私で一生懸命伝える。「かすかに焦げ臭いにおいがしてきたよ」とか、「茶色が濃くなってきた感じ」とか。


ほとんどひと気のない静かな館内で、単調な作業を続けること8分くらい?うっすら煙が上がるのが見えてきた。ただ、ここからが長い。煙の様子が変わって来るのを少しでも見逃すまいと、私も夢中で変化を伝える。

気力勝負だとしたら、とにかくやっていることが1歩でも前進につながってるよ、と本人が実感できるようにすることが応援だと思うから。確実に効果が出てるよ、ゴールが見えて来たよ、作業も前よりスムーズになってるね。気づいたことを、嘘ではなく真実のささやかな変化を、見逃さずにきっちり伝える。


ただ、ここからが息子1の本領発揮。長距離走に強いタイプ。コツを掴んだのか、上下する手は前よりリズミカルになり、煙の頻度が増え、明らかに焦げ臭い匂いが強まってきた。

大量の石器が発掘された丘の麓、静寂に包まれてたった3人で厳かな儀式を見守っていると、外が何もなくなって、今がどこだかよくわからなくなるような不思議な感覚に襲われた。

「おがくずが光った!着火したかも」係員さんが穴の部分の焦げを棒でほじくり、赤いものをポロっと取り出してくれた。


すかさず燃え上がりやすいものに移す。
ぼわっと炎が上がり、歓声が上がった。


一瞬のことだったので、カメラは大きな炎を捉えてないけれど、作業開始から20分。火を見つめた3人に、何とも言えない感動があった。お姉さんも私も涙ぐんでいた。

火を起こすのって、こんなにすごいことなんだ。薪ストーブの点火の時、下準備が悪くてマッチを何本も無駄にしてしまうことがある自分が恥ずかしくなった。他の動物たちが自分では作り出すことのできなかった火を手にした人間。ものすごい魔法だなぁ!と改めて感じ入る。

壮大な魔術を見せてもらっただけでなく、13歳になった彼が、自分で火を起こすまでに成長したこともまた、とても嬉しかった。