大沼ねこひ日記

三月の羊の製造以外(企画、営業、広報、売り子 +マイフィールドの喫茶、絵本、gallery)を担当。高崎→東京→大沼へ

震災について、3年経っても語る言葉はみつからない。
映像を見ると気持ちが悪くなり、どうしても見ていられない。
お見舞いを申し上げますと言えるほどに遠い立場になれず、
かと言って直接被災したわけではない。
東北を親しく思っているのに、
愛していた三陸の海産物を選べない。

原発については、生活や仕事を通してやれることをやっていく
というスタンスはあの前後で変わらないけれど、
何かが崩れてしまったような徒労感。
憤りながら、少し無理をして生活を削ってしまったのかもしれない。
それに気づいて、逆にもう少し自分の正直な気持ちや心地よさを
大切にしようと思うようになった。

20代に入った頃、友人の住んでいた東海村原発事故があった。
電話が通じなくなった。
それは、私にリアルに故郷がなくなる仮想を抱かせてくれた。
高木仁三郎さんの本が、飲み込みのわるい私にもわかる言葉で
原発の危険性を教えてくれた。

震災後、具体的にできることをして気をはらそうと、
少しだけボランティア活動に参加させてもらった。
絵本を被災地に送る作業をしていたら、
ふと手とった絵本にあっと思う。
高木さんが描いた絵本だった。

池に住む動物や空を飛ぶ鳥から見た
色んな視点を授けてくれる本だった。
描かれた経緯は知らないが、そこに込められた祈りが伝わってじんとした。
片山さんの絵も手伝って、何か明るく広々とした気持ちになった。
怒りという感情は、自分からみた一方的な見解から起こるという。
対立する立場ではなく、全てのことについて、
三方良しの答えを見つけていくこと。
それこそ人の頭の使いどころだろう。

3年前の震災で、ものすごく色んな立場の方が生まれ、
それに関して、言葉を共有することがとても難しくなったのではないかと
考える。その微細な見えない物を、せめて意識していようと思う。
釜石のお義父さん、亡くなられた全ての方々のご冥福を
心からお祈りします。
形を変えながら進む日本の未来が良いものであることを信じます。