不要不急のものが切り捨てられる世の中ですが、こういう時こそ必要なのが芸術ではないでしょうか。心が危機に瀕した時、人が直接介入できる領域は限度があって、誰にも届かないところへはたらきかけてくれるもの。
写真は2006年に西荻窪の三月の羊で行われた高濱浩子さんの「Cadiz あおいまち」展で購入した作品「あおいみち」。2011年3月11日、東京を離れポット苗のような(根を張れない)状態で震災に心がガラガラになったときも、私をそっと静かなところに連れ出してくれました。(彼岸参照)
今回は、今年できたての高濱浩子画集「眼(まなざし)」から、「あおいみち」を含む作品15点あまりを展示・販売します。昨年好評だった「旅する切手」のポストカードも届きます(80点全てが1点ものなので気になる方はお早めに)。これまでの高濱さんの歩いた軌跡を辿るような画集で、質量はスマートなのにとても読み応えがあります。
【うみたま】
【ねむり】
高濱さんの作品は、見る人の内部にぐっと深く突き刺さり、絵の前に立つ人へ思ってもみない作用を起こすでしょう。それはきっと、高濱さんご自身が、いくつもの生と死を見つめ、真正面から受け止め、苦しみ、悩み、命がけで解き放ってきたからに違いありません。
高濱浩子作品展「まなざし」 2021年6月10日ー7月18日
三月の羊+喫茶ねこひ にて