大沼ねこひ日記

三月の羊の製造以外(企画、営業、広報、売り子 +マイフィールドの喫茶、絵本、gallery)を担当。高崎→東京→大沼へ

春の夕暮れ


息子1が発って1週間。書類関係がようやく落ち着き、ほっと一息。…と思ったとたんに「○○がないので届けてほしい」、とメールが入る。書類提出で学校まで行った当日だったので、がっくりして1行目にあった「Happy Birthday!」さえ読み飛ばしちゃった。

規則が厳しめの寮、それも学校はまた別の規則があるので、両方を兼ねると色々制限が強まる。大学生とかならお金で自分で買って、と言えるところだけれど、寮の規則で常に所持金が1000円までと決まっているし、洗濯も自分の管理下ではないので放っておくのが難しい。

基本、生きてて他人に迷惑かけなきゃいいよ、とほっときたいところだけれど、寮は集団生活なので、ちょっとのことではみ出すと迷惑が掛かってしまう。衣類全部に付けるタグも位置まで決まっているので私には気が遠くなりそうで、出発前は夫や息子本人、Yさんや入学式に実家から長旅をして来た母にまで手を貸してもらいようやく終了したところだった。

入学式後に最後の別れを惜しむ間もなく、もう友達と連れ立ってどこかへ行くところだった息子1に、車の窓から「じゃあ後は自分でつけてね」と裁縫セットを渡しておいて良かった!!!


学校へ履いていくことを許されるタイプの服を届けるついでに、行商人のようにいりそうなものをたらいに詰めると、夫が過保護だと笑う。

でも、ほんとはそうじゃなくて、せめて1か月くらいは二度と呼び出されたくない気持ちが半分。あとは、そんなのいらないよ、と息子に笑って欲しいというギャグ的な気持ちもある。

必要と言われた1群、ひょっとしたらいるかな、と思われる2群、たぶんいらないだろうけど一応持ってきてみた3群で、3群がたらい組だ。これ、実家のお母さんじゃん!と自分に笑ってツッコミを入れながら準備した。

風呂や夕食の時間があるだろうから、会えるはずの限られた時間に事務的な話が全て終わるよう、段階的に渡すものを整理してメモし、待ち合わせの時間に近くのコンビニに15分前に着くが、時間になっても現れない。息子より私が間違う可能性の方が高いので「今日何曜日だっけ?時間間違えた?」と目が踊るが、たぶん合ってる。

息子が間違うことはほぼないので、きっと学校の用事が伸びてるんだろう。すれ違わないように15分その場で待ってから寮へ向かうと、急ぎ足で出てくる息子の姿発見。近くに他の生徒さんがいるので大声をださないよう車で近づいて捕獲。

案の定、委員会のミーティングが伸びていたよう。テンポよく持ってきたものを見せる。本人が必要だと言っていた衣服2点と生活用品1点以外は突き返されるだろうと予測していたが、予想外のもの3つがヒット。パン・フリース・新聞。3群から2つも。

旅や入院の経験から、新聞はあらゆることに役立つ(読み物だけでなく物質として)からおススメだよと初日に軽く声を掛けたけど、もちろん不要と言われて持ち帰っていたもの。なぜ気持ちが変わったのかまでは聞く時間がなかったけど、「助かる」と持って行った。


「学校はどう?」「長い」
「寮は?」「楽しい」
「食事は?」「おいしい」

じゃあもういいね。何も心配いらない。コンビニでは同室の子たちとすでに馴染んだ様子で話している姿も見られたし、ひとまずこれでしばらくOKかな。

しっかり目を合わせ、またG.W.に、と明るい表情で手を降る息子。一度も振り返らずに、寮の方へ駆け足で消えていった。

1時間にも満たない面会だったけど、学生時代の春のワクワク感を分けてもらったようで楽しい気持ちが私の心にも灯る。帰り道は高速ではなく、いつもと違う道をゆっくり走ってみた。春の夕焼け空が、とてもきれいだった。