岩手にある大沢温泉や、鉛温泉が好きだ。温泉の質がすばらしく、落ち着いた渓流沿いの湯治場で、長逗留できるよう最大限の工夫がされている。
もう10年以上経つので記憶に基づくが、枕20円、毛布100円、のように小刻みに自分用にカスタマイズできる仕組みが新鮮で、いいなぁと思った。泊り客は自炊もできる。
心と体を揺らして考えてきたけれど、三月の羊の在り方を思う時、やはりそちら寄りでありたい、というのが終着点になる。
浅草の「舟和」さんだったか、大宮駅の売店で、今でもこんなにシンプルで質の高い食べ物が売られているんだ、と春に感動した。包装は素っ気ないほどで、その分安価。そのままでいてくれてありがとう!と思う。
物価高が進み、お客さんが離れてゆかないように、どのお店も企業も工夫を重ねる。宿は裕福層向けに進化することが多いし、食品は小型化と原材料をより安いものに切り替えることが多い。
だからお土産はおしなべてパッケージデザインに凝り、中身は薄くなっていくのがよくあるパターン。ちょっとくらい野暮ったくてもいいから、あのたくさん入っていた土地のものらしいスープが好きだったなぁ!と思う私は少数派なのか、元に戻ることはない。
そんな流れの中で踏みとどまって、時代を超えてゆくものは最高にカッコいい。もちろん、ただ何もしないのとはわけが違う。そこに理念があるのだと思う。
華やかな包装、今っぽいモード、私もおしゃれは好きだけど。でも、お仕事としては浅草のペリカンさんとか、信州のみすず飴だとか、そっちを参考にしたい。
そのうえで、12月に贈り物として使っていただく気持ちが乗せられるようなものを。
12月のお菓子のアップ、半分完成。残りも数日中に。
三月の羊、12月の特別なお菓子