大沼ねこひ日記

三月の羊の製造以外(企画、営業、広報、売り子 +マイフィールドの喫茶、絵本、gallery)を担当。高崎→東京→大沼へ

バードの終点、私の起点


テーブルや棚の位置に新聞を敷き、必要なサイズを確認。

2007年頃だったと思う。休日の旅にあちこち見て回り、鎌倉、藤野、長野、夫は山梨へも。
ふたりとも好きな岩手では台風に追い返されるようにして帰って来た。ふたりともココ!
という場所がなかなか見つからない。

焦りを感じ始めていた頃、一旦移住という視点を置いて私は以前から行ってみたかった場所へ
ひとりで行こうと決心した。それは二風谷(平取)。
苫小牧からバスに乗っての遠路は東京からでもそれひとつの目的に絞らないと難しい場所
だった。人を誘うにはあまりに遠く、目的は言葉にならない。でも何か自分にとって大切な
ものを確かめる為に行きたかった。結局夫も行くと言い、ふたり旅になった。

10月24日か25日から数日の旅だった。二風谷へ向かうまでに、まず飛行機の上から虹が見え、
ローカルバスからは1時間も虹が消えずに見えていた。何だか歓迎されているみたいだった。

紅葉がとてもきれいで、晴天に恵まれた数日間。

とても不思議な空気感のある平取・二風谷を後にして、すっきりした気持ちで噴火湾を電車で
ぐるっと森・函館方面へ。途中気になる伊達・長万部・森などに寄りながら大沼へ降り立つ。


迎え入れてくれた小沼。
ほんとうにすばらしい数日間だった。二風谷から始まった旅で大沼と出会うことができたので、
今こうして家族が増え、新店舗を作るまでになった感謝を込めて、
昨年の夏の旅はそのお礼参りの意味を込めたものだった。→ ★夏の旅日記


イザベラ・バードの『日本奥地紀行』を読んだのは、2007年の運命的な旅より後で、明治時代の
アイヌの様子や道南から日高の当時の様子が面白くて夢中になった。昨年から「北海道命名
150年」として道内ではイザベラ・バードが取り上げられる機会が多く、
道内各局で「バードの道を歩く」という企画物を目にする。

私が読んだ頃、バードは西日本も旅していたし、日本の旅の目的地が「平取」ということを
テレビを見るまで意識せずにいたのだった。
ここ2週間で立て続けに同じような番組を見て、旅の最終目的地が平取、しかもそこまで大沼
から森、室蘭を通って厚真、平取という去年の私たちの夏の旅と全く同じものだったので
何かご縁を感じずにはいられなかった。

言葉ではうまくまとめられない。
クリスマス頃にやっていた方の番組で、最後に自らもアイヌの血を引く二風谷アイヌ博物館の
関根さんが、「バードに会っていたらどんなことを伝えたいですか」というインタビューの問い
に答えていたことがとても素晴らしく、アイヌの本質をついているように感じた。
「文化とか自然とのつながりとか、そういうのではなく、自分が幸せだということ、アイヌ
あることがとても幸せだと感じているということを伝えたい」とキラキラした瞳で話していた。

「在る」ということの喜び。
「何か」は今もうまく言葉にできないけれど、あそこが起点だと確信できる。
二風谷から始まった旅が、今展開しようとしている。

明日から新しいお店用の買い出しや視察・ご挨拶を兼ねてひとり旅。ちょっと南下してきます。
まとまらないままに差し出すのは乱暴かもしれないけれど、今伝えたいという気がして書かせて
いただきました。
何かこうした長い束を束ねるように、ここまで来てご縁があって今ここにいます。
そして色々なものがどんどんつながり始めていることが面白くてたまりません。
またいつか、まとまりのある形でみなさんにお伝えしたいけど、まずは行ってきます!