大沼ねこひ日記

三月の羊の製造以外(企画、営業、広報、売り子 +マイフィールドの喫茶、絵本、gallery)を担当。高崎→東京→大沼へ

冬ごもりに必要なもの

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        今年も一年、ありがとうございました。
        2021年がみなさまにとって健やかで幸せな一年となりますように☆彡

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東京の感染者が毎日のように800人を超えているのをハラハラ見守っています。ここは静かな森の中ですが、友人親戚お客様が多いだけでなく自分も歩き回った場所なのでリアルに想像がつき胸が痛みます。

誰もかれもが冬ごもりせざるを得ない状況ですが、職業によってはそんなこと言ってられない方もたくさんいらっしゃいますよね。私は医療従事者の方には特にたくさん助けていただいた2020年でした。何十人もの専門家が自分の健康の為にこれ程尽くしてくれるとは驚くべき状況で、命の応援団がとても頼もしかったです。



北大病院は何千人もの方が働くとても大きな病院で、ちょっとした町のよう。コンビニやカフェはもちろん、小さいながら熱帯植物園もあるし、中央ホールで北大生によるクラシック演奏会が催されることもありました。

家から300㎞離れた病院で周りに知り合いもおらず、携帯もなく私はほぼひとりで病院へ入りました。だから、看護師さんたちだけが頼り。最初はどう過ごしていいか戸惑うこともあったけど、慣れてくると、感動の日々を過ごせる場所になりました。

1つは、働いている人と入院している人の心地良い気の循環によるものでした。私が出会った北大病院のスタッフの方々は、それぞれの職種が自立している関係で先生の腰は低く、主治医でも研修医の考えを尊重し、看護師さんたちが自立して意見を持っているように見えました。

技師や理学療法士、清掃の方、みなさんがそこで働いていることに誇りを持って、「自分ができる限りのことをしよう」という気に満ちていました。他の病院で先生がてっぺんで後はトップダウンという構図ばかり見てきた私には驚きでした。

患者は尊重されており、そのムードが伝わるのか、しばらく居ると患者の方でもできるだけ看護師や医師に余計な手間をかけさせないようにしようと努力しているのが見えてきました。

清掃の方が掃除しやすいようにものをどかしたり、動ける人が食器をほかの人の分まで運んだり、忙しい看護助手を呼ぶのは悪いから、とためらうおばあちゃんがいれば、洗濯に手を貸す同室の患者がいます。

「全部の科がこうではないよ」とベテランの入院患者さんが言っていましたし、たまたまその時めぐり合わせた人たちに恵まれたのかもしれませんが、一日にしてできる空気ではありません。

長くいる患者さんからは、色々なことを学びました。入院中の過ごし方や院内のイケメン情報、先生との上手なコミュニケーションの取り方。自分よりずっと大変な人たちがいることを目の前で見られる環境は、自分を「かわいそうな人」と思わず、「みんな大変な中生きてるんだ」という気持ちにさせてくれました。

退院する頃、私はすっかり北大病院のファンになっていました。退院する3月上旬は札幌での感染者が多く、外の世界はピリピリしてきていましたが、病院の中は守られている感がありました。先生や看護師さんをはじめ、技師さん、理学療法士さん、売店の売り子さん、清掃員など全てのスタッフが菌を持ち込まないよう気を付けてくださっていたのだと思います。

過酷な1か月半に付き添ってくださった理学療法士さんに、別れ際思わず握手の手を出してしまったとき、コンマ何秒か迷って握ってくれた手がガサガサなことにハッとしました。1日にどれほど手を洗ってくれているんだろう、健康そうなその手が耐えられないくらい洗って気を付けていらっしゃるんだ、と肌で感じることができました(それをふいにするような行動をして申し訳ない><)。

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        クリスマスにのぞみ園からいただいた心のこもったクッキーとカード


一方感染を防ぐために家に閉じこもって辛い気持ちでお過ごしの方も多いと思います。どんな状況の方もまんべんなく、大変ですよね。でも、生き延びましょう。自分の冬ごもりに、何が効果的か、考えてみませんか。

私の場合、入院生活を心地よくしてくれた2つ目は、既に冬ごもりに慣れていたこと、自分の必須を知っていたことだったと思います。迷いの多い時期にはひたすら折り紙を折る、など、自分の状態別に効果があることを見つけておくといいですよ。

<疲れを癒すもの>
*お風呂…塩や柚子を入れる。香りを楽しむ。ろうそくをともして薄暗くする
*音楽
*マッサージ(香りのいいクリームで自分の手を揉むだけでもほっとします)

<ご機嫌になるもの>
*漫画
*気の置けない友達との会話(会えないなら電話やスカイプ、手紙など)
*コーヒーを淹れる&香りを楽しみ味わうこと
*見ただけで心がにこにこするような絵や写真

<そのほか、効果的と思われるもの>
*くだらないもの。大笑いさせてくれるもの
*歌う
*ホメ日記(自分を大げさにホメる!習慣化すると人への誉め言葉も口をついて出てきます)


自分が「生きてるだけで価値がある」としっかり信じられることが、何より大切ですね。それはおごりではなく、自分にもそう思える人たちがいるから信じられるのです。

小さい頃お世話になったおじちゃんは、会話できない状態で病院に入ったままだけど、私は存在だけで助けられてる。おじちゃんが生きててくれることが本当に嬉しいです。おばちゃんは亡くなっちゃったけど、おばちゃんという存在に出会えて、たくさんの関わりを思い出すと、それだけで辛い時も乗り越えられます。

だから堂々と、人のお世話になろうと思います。もし世の中役に立つ人しか生きてられないとしたら、何てつまらなく窮屈でしょう。私は愛のあるばからしいものが大好き。クリーピーナッツの、深夜のばからしいラジオが大好き。何のためにもならないもの万歳ですよ。それこそ生きるっていいなって思えるものだから。

私たち、ただの小さな生き物で、ほんの何十年か息をして、いつの間にか消えていく。短い間だけど、その間で楽しめることや出会えるものの多さはなかなかすごい量ですよね。今、大変な時代ではあるけど、時代の生き証人として、いつの日か2020年は大変だったねと語る日が来るでしょう。

居心地を良くした3つ目と思われることは、少し先をどんな風に過ごすかイメージしたこと。私はみなさんが待っていてくださったおかげで、スムーズに回復してここへ戻ってくることができました。

帰ったらパソコンの前に座って作業できるようになろう(それだけでけっこう大変)と座る練習を重ね、すぐに仕事に入り注文をミスなく受付られるよう同室のおばあちゃんに借りたDSで脳トレをしておこう、4月に店に立てるように看護師さんが驚くほど階段を上り下りしよう、というように。

コロナはいつ収まるかわからないけれど、制限があるなかでも、来年はこれをやってみようかな、ということが必ず見つかるはずです。ノートに書き出しましょう。1つ書くとどんどん出てくるかも。私はアンネ・フランクの日記をもう一度読んでみたいです。今読んだらきっと身に染みるだろうなぁ。アンネのいた状況より、私はかなり呑気だろうなぁ。

長くなりました。ここねこひ日記で心を開いて文を公開させてもらうことも、私の心の平安を保つ1つです。いつも長くくだらない話にお付き合いくださって、本当にありがとうございます。この場所があることに、とても救われています。最後まで読んでくださったあなたに、特別いっぱいいっぱいいいことがありますように☆

来年もまた、ここで会いましょう!良いお年をお迎えください♡