大沼ねこひ日記

三月の羊の製造以外(企画、営業、広報、売り子 +マイフィールドの喫茶、絵本、gallery)を担当。高崎→東京→大沼へ

革細工・息子の工作


受験生のはずの息子1だが、時々机を除くと、勉強道具ではなく、色鉛筆とかが散らばっていることが多々ある。先日は皮の端切れがいっぱい。

この皮は、私の父のカバンだった。不要になったとき、なんだかもったいない、と思って20歳になるかならないかの私が直線に切り取って保存。

ペンケースくらい作れないだろうかと、構想して少し切ってみたり縫ってみたりしたものの、皮が固すぎて手持ちの裁縫道具では歯が立たず、挫折。

皮に興味を持ち、中学生ながら渋いイタリアンレザーのペンケースをリクエストしてきた息子1にあげるとテンションが上がっていたのは、いつだったかな。

数週間前、突然「あの皮で財布作ろうかな」と何かやりだした。針は、普通のだと歯が立たないから皮用が必要だよ、と伝える。100均とかにあるかも、と言うけどやっぱりなくて、ちょうど立ち寄れたクラフトショップでゲット。

本人がネットで調べたとこに、少しだけ私の情報も足す。目打ちとかで、穴を開けてから通すといいかもよ。 留めるやつ(ホック)は? 家にあるよ。

すごい集中力で部屋にこもり、布と同じように結んで始めた玉結びが抜けた、と少しがっくりして出てきた時、両方から出してもやい結びにするとか、だめなら結び目をボンドでつけちゃうとか?と幾つか提案すると、「ボンドかぁ」と目がきらんと光った。

そこからは早くて、2~3日後には完成品が机に置いてあった。
完成品。


カードと小銭とお札も入る仕様。コンパクトでいい。
自分のポケットに収まるサイズを意識したのかな。

ホックを隠すために丸い皮を貼ったり、細かいところまで考えてある様子が伝わってきて、なんかいいたたずまい。おさがりの皮なので、少しダメージがあるけれど、それもいい味出している。何より、本人が気に入って使おうという姿勢がにじみ出ている。

ねこひ日記を長らく見てくださっている方にはわかると思うけど、手を動かして作ることの喜びを、一緒に味わってきた私たち。私自身はそう器用な方ではないんだけど、彼にその楽しさを伝えることはできたみたいだな、と嬉しく思う。夫の影響も大きい。

将来の夢はコンピューター関係。でも、だからこそ、しっかりアナログ体験を味わえたことが、きっと力になってくれるはず。20年ただ取っておくだけだった私にはできなかった「皮を生かす」ところまでやってくれて感激。

ボンドは、コロナの頃力を入れて取り組んだ実験工作用に購入したものが役立った。材料を揃えたところで頓挫して生かせなかったものも色々あるんだけど、このくらい生かせたら十分だよね、と自分に言い聞かせる。

この財布を見てても思うんだけど、完璧すぎないところがいいんじゃないかな。イメージはしっかり、でもふわっと自分のできるやり方で。「できそうかも」って気軽に思えるスタンス、低い敷居でやってみちゃう感じ、それこそ私が母から受け継ぎ、息子にも伝授できた一番の教育らしきものなのかも。

子どもの工作に関して私が気を付けたこと。自分のメモ代わりに。
*初動を大切に見守る(本人のやる気を追い越さない)
*道具が揃うように手伝う
*様子を見ながら、完成まで持っていけるよう長いスパンで声がけする

9月に息子が撮ったシマエナガ。巣立ちの時は、着々と近づいている。


P.S. 明日から季節の豆乳キッシュは蕪。三連休、毎日焼きます。