大沼ねこひ日記

三月の羊の製造以外(企画、営業、広報、売り子 +マイフィールドの喫茶、絵本、gallery)を担当。高崎→東京→大沼へ

バカボンのパパ

風が、黄色くなった落葉松の細い葉を飛ばすので、
うっかり窓を開けておけない。
あちこちの木々がさっぱりして、朝、庭先でウサギかと思うくらい
丸々したリスたちがちょろちょろ見えるようになった。
白いお腹と赤い冠のアカゲラが木をつついているのも見た。



先日、廃鶏になった鶏を分けていただいた。
卵を穫るための鶏は、産卵率の下がる2年くらいで更新されていくそうだ。
絞めた鶏が羽だけむしられた状態でやってきた。

ドキドキしながら、夫がさばく。私は『材料の下ごしらえの百科』(主婦と生活社
で補佐。がっしりした足の爪とか、顔の無い首を見ると生々しい。
でもがつがつと包丁を当ててさばいた。

平飼いされていた鶏なので、肉がすごく固い。いっぱい運動したんだね。
なぜが、脂肪である皮まで固かった。
スープストックをたっぷり作り、半分冷凍。
肉は噛み切れないくらいの部分が多かったのだけど、
夫が刻んで甘く煮付けてくれたものは、生姜が効いててお弁当のおかずにぴったりだった。

鶏をばらした日、しゅんとした気持ちになった。
食べることの、おいしくて嬉しいだけじゃない部分。
日本が消し去ろうとしているケの部分を、私たちは見たいのかもしれない。
あんまり隠されてきたから、知りたいのかもしれない。

3日も経つと、あの時の厳粛な気持ちは薄らいだ。
それでも、今度精肉を見る目、食べる気持ちは変わるだろう。
鶏を見る目も変わるだろう。
そういうのが、私が自分に必要だと思う教養なのら。