大沼ねこひ日記

三月の羊の製造以外(企画、営業、広報、売り子 +マイフィールドの喫茶、絵本、gallery)を担当。高崎→東京→大沼へ

移住の話*2・ゆとり

ホワイトクリスマスというとロマンチックな響きだけど、すごい吹雪。
みなさんに景色をプレゼントしようと思ったけれど写真も撮れないほど。
厨房で梱包を終え、眠くてぐずり出した息子を抱え一足先に家へ。
夫は歩いて帰って来られるのか。


さて、移住話の続き。
都会との色んな違いを味わっているけれど、
こちらで一番違いを感じるのは人の持ってるゆとり。

特に男の人。
初対面でも子どもをすっと抱き上げて、ほんとに可愛がってくれる。
東京で大人がそれをやったら、母親が血相を変えてやってくることが
多いせいもあるのだけど、そういうためらいがない。


夫は自転車で走っていて、車が自転車の為に交差点で止まって
くれることに感激していたな。
雪道を子連れで歩いていると、ばしゃばしゃした水が
私たちにかからないように車が避けてくれたり、避けられないときは
徐行してくれたりという場面もある。トラックさえだよ。

こういうちょっとした場面に、しみじみしてしまう。
たぶん、都会に住んでがっかりしてしまうのも、
丁度こんなささやかなことだよね。

東京でぎすぎすしたものを作っているのは、環境の他、時間的なものが大きい。
長時間の労働と、主な移動手段が電車というのも一因かな。
電車が登場してから、街に時計が普及したそうだけど、それまでは
人々は日時計や鐘をめやすに行動していた。

車での移動は時間がきっちり決められず、雪の時期はとくに大変。
運転だけでなく、装備や雪かき等、出発までにやることがたくさん。
もう生きてるだけで精一杯って感じ。
冬期以外も、例えば宅配便で時間指定ができなかったり、
物を手に入れるには時間がかかるということを意識できる場面が多い。

それから、学校の規模が小さい事も関係しているのかもしれない。
やや極端な例だけど、近所の全校8人の小学校(来年休校予定)に
出入りしていると、ひとりひとりのペースが大切にされてるところを
目の当たりにする。
複式学級だから、上級生たちは小さい子たちのことを待っている場面も多いし、
時刻厳守の雰囲気は感じられなかった。
学校ではみんなのスピードを保つ事が優先で、自分をなんとかそこに間に合わせなくちゃ
いけないと、いつも妙な固まりを抱えていた私には、ショッキングだった。

ビジネスの場でさえそれは同じで、びっくりする。
それは、経済に結びつかない一因にもなりうるのだけど、
ちょっとこちらが不便をそういうものとして受け止めれば、
そのゆるさが、この地域にほっとさせてくれる見えないゆとりを
作っていることがわかる。

時間と貨幣経済が引っ張り合うものだとしたら、
時間的なゆとりと経済的なゆとりのバランスをどこでとるかが、
この何でもありな今の日本で生きるポイントなのだろう。
そして貨幣以外に経済(家庭的な)を見いだしていくことも。