大沼ねこひ日記

三月の羊の製造以外(企画、営業、広報、売り子 +マイフィールドの喫茶、絵本、gallery)を担当。高崎→東京→大沼へ

移住から5年


筒鳥が鳴いています。外には霧が立ち込め、肌寒いくらいです。
晴れているとまだ鶯の声もして、5−6月の大沼は
鳥の声が何とも言えないハーモニー。

美術と音楽が好きな私にとって、この音の環境と
視界に緑の多い風景の美しさは他に代えがたい宝物。
東京も住んでいてすごく楽しかったけど、
家の周りで年々リサイクル家電回収の車が回収を呼び掛けたり、
放置自転車撲滅のアナウンスがけっこうストレスでした。


大沼の中でも、うちはちょっと集落から外れた場所にあり、
町の人から「怖くない?」「変質者とか出ない?」と
心配されることがありますが、なんのなんの。
キツネとかリスとか鹿とかの世界ですよ(笑)。

心配していた冬は、車の運転が慣れ、出かける先の選択肢が増えたおかげで
楽しめるようになってきました。
冬以外の寒さはちょっとまだ慣れません。
5月ー6月とか11月の寒さがこたえるのです。
薪ストーブ&開放的な空間は、ちょっとだけ暖めるには少し手間がかかるので。

色々作戦を練って、冷え取りグッズにも頼ってみたりしています。
最強の味方は湯たんぽ。
長男妊娠時に父に買ってもらった昔ながらの金属製ゆたんぽが活躍しています。
ストーブがある時期なら上に置いておけばOK。

子どもが窓を開けっぱなしにしたのか、ある夜100匹以上の蚊が
家にいてアタック大会になったことや(幸い一晩だけでした)、
蝙蝠の大家族が住んでしまって外壁を張り替えることになったりとか、
ほんとに思ってもみないようなハプニングは起こりますが、
大工の齋田さんに話していると全て笑い話になっていきます。

蝙蝠が飛び立つ瞬間、私の家を建てていたときのトラウマが
一緒に飛び立って行った気がします。
ありがとう、と思いながら齋田さんがはがしていってくれた
古い板を洗い、釘を抜きました。すごく気持ちが落ち着きました。
思いがけないことは、まず笑ってしまいさえすれば大抵良いことになります。

人里離れた場所に住むことで、人と接する幸せや家族のありがたさを知り、
寒い場所に住んだことで、人は暖かいだけでこんなに幸せになれると知り、
「自然」という言葉のイメージが、感情的な良いだけのものでなく、
ドライでクールなものに代わりました。

見知らぬ土地に来て、荒れ野を開墾し、家を建て、子どもを産み、
私にとっては大冒険だったこの5年。
いつも画面の向こう側で見守りエールを送ってくださったみなさんに
心から感謝しています。
表現できる場所があるということがとてもありがたかったです。


明日の店舗販売は、外壁修理中ではありますが、
いつも通り営業しています。
しっとりと潤った緑の大沼をお楽しみください。