大沼ねこひ日記

三月の羊の製造以外(企画、営業、広報、売り子 +マイフィールドの喫茶、絵本、gallery)を担当。高崎→東京→大沼へ

祈る・イメージする

震災から11年が経ちましたね。お亡くなりになった方のご冥福を祈り、被災者の方々が心やわらぎ、穏やかな日々を過ごせるよう心からお祈りいたします。辛さが減ることなんてないだろうけれど、せめて痛みを忘れる瞬間が増えてゆきますように。

連日ウクライナの悲しい状況に心がうずきますね。ひとつだけ、微かなほの明りを感じるのは、SNSなどを通じた直接的なウクライナの惨状を見て、世界中の人が平和への祈りを強くするようになっていると感じることです。

脅しになるような巨大な武器を使わないよう、今こそ核兵器禁止条約への批准も進んで欲しいです。広島市が作る以下のサイトからはオンライン署名もできます。

広島市の「核兵器禁止条約」早期締結を実現するための署名活動

核兵器禁止条約の署名国・批准国


平和への想いが強まるのは望むところですが、一方で気になるのは、プーチンさんやロシアへの極端な嫌悪感を募らせることです。ニュースを見ると、子どもたちは心をいためるだけでなく、どこかで吸収してきた言葉を吐き出すように罵倒を始めました。

もちろん、プーチンさんのしていることは許されることではありませんし、非道な攻撃は今すぐやめるべきですが、私たちがとるべき態度は、ただ一人の敵や国に対して、今の自分たちの現状への様々なイライラや不満まで乗せて憎悪を募らせることではないはずです。

どうしてこのような状態が起こったのかという短期的な背景を学ぶことはもちろんですし、プーチンさんがどうしてこのような攻撃が必要だと思うに至ったかという幼少期からの背景や刷り込みを想像することや、ずっと遡ってのロシアの歴史を知ってゆくことがより大切だと思います。

また、情報操作がどれだけ恐ろしいものか、ということについても改めて自分事として受け止める必要があります。国を挙げての情報操作が起こった時には、国民もあっという間に価値観を変えられてしまうという危険を目の当たりにして学ぶチャンスです。情報に簡単に踊らされない価値観を、自分の内側にも作っておく必要があります。

私は函館近郊に住むようになって、ロシアは今まで以上に近くなり、本来すばらしい文化を持つお隣さんとして、より身近に感じるようになりました。東京にいた時も、新宿にあるロシア料理のお店を気に入って、ジャム入りの紅茶や温かみのある黒地に金のカップなど、本からは伝わってこない分厚い文化を分けてもらうことがありました。

 

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はこだて国際民族芸術祭にて

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すれ違った言葉や価値観を切り捨てていっては、いつまで経っても全体の平和は訪れません。違う言葉で、どれだけ話すことができるか、「相手が悪い」という前提から話合うのではなく、ゼロの気持ちで相手はどうしたいのか、どうしてそう思うのか、ほんとうは何を望んでいるのかを注意深く受け止め、妥協点を見出してゆかなければなりません。

そして時間のかかるであろうその対話が完成する前に多くの命が犠牲にならないよう、世界全体のルールを作り、全ての国が参加する必要があるでしょう。被爆を体験した国であり、丸腰でも対話ができる日本だからこそできる平和への貢献があると思います。

理想論だと言われるかもしれませんが、今回のことで、人の抱くイメージや概念という「心と頭の中身」がどれだけの悲劇を生むものかを今更ながらに実感します。だから、みんなで理想の世界をイメージしなくては。それこそが、現実を変えてゆくのですから。